喫煙所で失礼な男との遭遇したその日、奴の素性を知る事となった。










◇cigarette◇










「あ〜…、それきっと枢木だぜ」

「くるるぎ?」




男が立ち去ってから、偶々通りがかった高校からの友人のリヴァルに捕まった。
別に然程気にもとめなかったが、情報量の多いリヴァルに何となくさっきの男の話をしてみたら、舌を噛みそうな名前が飛び出てきた。




「そう。枢木スザク。ルルーシュは知らないだろうけど、結構有名人じゃないかなー」

「へぇ…」

「なんか、親父さんが政治家だとか。由緒正しいお家柄だとか」

「ふーん」

「うわ、興味無いね!」

「全くな」




そうか、ボンボンか。道理で自己中心的な感じがしたんだ。




「でも、枢木が有名なのってそこじゃ無いんだぜ」

「…は?」




なんだか、リヴァルが得意気に話している。
たいして興味は沸かないが、リヴァルが話したそうにしているから聞いてやることにした。




「女関係が、派手なんだよアイツ」

「………」




だから、どうした。

と思ったが、リヴァルが声を潜めて内緒話じみた雰囲気を醸し出してきたから付き合ってやる。




「中学の頃女教師と付き合ってたとか」

「へぇ」

「高校の頃不倫で付き合ってた奥さんが、旦那と別れて一緒になるって揉めたとか」

「へぇ」

「大学の入学式に真っ赤なBMWに乗った女に送ってもらってたとか」

「へぇ」

「一晩で5人孕ませたとか」

「それは嘘だろう」

「だと思うけどさ」




リヴァルは小さく肩を竦めながら、まぁ、嘘でもそういう話が多いってことさ。と言っている。
そうか、つまり、




「俺の付き合いたくないタイプの人間だってことはわかったよ」

「まぁ、そうだろうな」




言い切る俺に、リヴァルは苦笑する。
だって、そうだろう。
男でも女でも、不誠実な人間は嫌いだ。




「でも、お前気に入られてんじゃん?」

「はぁ?」




なんでそうなる。




「気に入るも何も、今日初めて話しただけだ」

「でも、枢木メンクイらしいからなー」

「それこそ意味がわからない。俺は男だ」

「いや、うん…そうなんだけどさ」




まぁ…ルルーシュだしな…。などと、嫌に歯切れ悪く呟いている。
何なんだ。今日の俺の周りはわけのわからない奴らばっかりか。




「ま、気を付けろよ」

「?わかった」




一人で何かを納得したらしいリヴァルに、何かを注意されて、一応返事をしておいた。




俺に一体何に気をつけろというんだろう。

この時のリヴァルの言葉をもっと深く考えるべきだったと、後々俺は後悔することになる。





end









やっぱり続きました。まだ続きます。