手を離す。真下へ落ち、遠い波間に飲まれて見えなくなる花々を見て、喉に詰まっていたものが、全て溶け出すような心地がしていた。強い風が吹く。空がひどく青くて堪らなかった。忘れると誓った、しかし胸の内に居座り続けていたものが、目の届かない場所で崩れて消えていくだろう場所を見下ろしていた。海に放ろうと、土にかえそうと、何ら違いはないのだ。手のひらから離れていく花弁を見て、ああ確かに捨てるでなく喰いたい筈に違いないと、もう笑うしか出来ない。ずっと知らなかった感情の名前を知っても、ただ笑うばかりだった。


愛を遂ぐ。

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