今回こそはいけると思ったのに、最後の最後、絶妙の――俺の主観であるから、最悪の――タイミングで青いのが邪魔してくれたのだった。光線は跳ね返し、兵器も壊し、俺達を取っ捕まえ。
 毎度毎度ながら、今回は本当に、惜しかった。


「アンタさ、本当に何なんだよ。」

 そういう時に限って、ふと二人きりになるタイミングが出来る。隊長の部屋で1人パソコンを弄りながら他の奴らを待っていると、よりにもよって天井から降り立った件の青いの――もといドロロ先輩に、噛んで吐き出すように俺は言う。今回ばかりは、俺も惜しく思うくらいだったのだ。
 そろそろ本部への誤魔化しの限界だって見え始めているというのに。俺の焦りも何もかも、知らないようにドロロ先輩は、目元しか見えないが確実な笑顔を崩さず首を傾げた。

「この星を、渡すわけにはいかないでござるから。」「……分かってるのかよ。」

 失敗したら、もう、二度と会えないのに。

 解散させられた小隊のメンバーが、二度と会えないことなんて分かりきっている。認めたくはないが、俺は焦っているのだ。本当に、本当に認めたいことではないが、あの人達と二度と会えないというのが、何れ程自身に応えるか。そんなこと、俺が分からない筈もない。

「クルルくん。」

 畏まった声で、名前を呼ばれた。
 いつもと違う口調が、自白のような独白を表していると、知っている。

「皆と離れるなんて、絶対に嫌だよ。絶対にそんなこと許さない。」

 なら、と俺は言いたい。俺とは正反対な方向を向いて、それでいて同じように、この環境を慈しむことを是とする人に。
 それでも、と彼は言う。それでも、ねぇ、くるるくん、


「この綺麗な星が、ほんの少しでも損なわれるのは、同じくらい嫌なんだよ。」


 だからごめんね、もう少しだけ、このままで――なんて。そうやって甘ったるい感情で物を言うから、アンタは駄目だって言うんだよ。



(そんなこと、誰だって同じに決まってるだろ、ばーか、)




 41.ルフラン
 ⇒そうして、回帰したがる誰かへ。
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