※軍曹が割と自分勝手





 貴方の言う愛とはつまり、




「何だろうな、手酷く裏切られたような気分だぜ?」

 そう言う俺に、それでも隊長はへらりと笑って、肩に置いた手に緩く力を込めた。此処は俺のラボだというのに、座り込んで背中を付けた灰色の壁がやけに不愉快な冷たさに感じられて、満足な抵抗をする気も起きない。長く、息を吐いた。

「クルルってば、こういう時もうちょい愛想よくしてくれてもいいんでない?」
「甘ったるい雰囲気ならまだ分かるが、どっちかってーと暴力的だろ、コレ。」
「我輩、クルルに酷いことしないでありますよ!」

 心外そうに唇を尖らせる顔を見上げながら、また眉を寄せる。自覚ナシが一番タチが悪いのだ。隊長の顔には、あまりにも、あまりにも害のない笑みしか乗っていない。「クルルは勿論、他の誰にも、優しくしたいと思うでありますからね、」フェアじゃない。心底思うのだ。この体勢も、その言い分も、何もかも。

「好きでありますよ。」

 幼い子供のような動作で、首に腕が回される。一瞬息が詰まって、けれど、すぐに慣れてしまう。その台詞の後に続く筈だろう『皆』という便利な言葉を思いながら、それでも身体は動かないのだ。
 ……フェアじゃない。
 諦めのように目を閉じる度に、行き場のない衝撃が、頭を苛んでいる。




 2.インパクト
 誰が一番とかよく分からない人な緑とか。諦めきれない女々しい黄色とか。
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