すきすきだいすき。
 そんな言葉を真面目な顔で言えば、まるで傷付いたような顔をするのは知っていた。ざくざく切りつけられたみたいな顔だ。それは自分に向けられる言葉じゃないと、耳を塞いで首を振るのが、何だかとても可愛く見える。きっと言葉に、うつくしい意味を持たせているのだろう。宝物みたいに思って、遠目に眺めるだけだったのだろう。分かったとしたって口から零れた言葉はもう取り返しがつかないから、もう一度繰り返した。すきすきだいすき、

「だいすきでありますよ。」
「……いったい何の嫌がらせっすか、隊長?」

 耳を塞いで、歯ぎしりしながらクルルが尋ねてくる。まさかそんな言葉が自分に向けられることはないだろうと今まで余裕でいて、だからこんなに動揺しているに違いない。昔から我輩は人の宝物にまで手を出して怒られる子どもだった。ドロロの宝物なんてどれだけ壊したことか。その二の舞を今まさに演じようとしているのだ。

「すきだよ、」

 おまえが今まで夢見ていた感情が決してうつくしくないことを、おまえはこれから、容易く知るだろう。



7. キーワード
 珍しくちゃんと緑→黄のつもりだったけど、いつもと大差なかった。
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