またくずされた。


 けろろくんはそういって、なんでもないように、いつものように、かたづけをはじめた。またつくりなおすために、だ。なきそうなかおをしているぎろろくんを、ぼくはまっすぐにみられなかった。いつもうつむいているぼくは、いますごくかなしいのかも、じつはよくわからない。めをそらしてばかりいるから、わからないのだ。くずれたひみつきちを、ぼくは、ちゃんとみられたためしがない。

 また、つくるんだよね。
 あったりまえだろー。

 こないだもいったじゃん。けろろくんがわらう。まぶしいくらいだった。なきたいのは、いつだって、ぼくではないのに。

 ぎろろもてつだえよ!
 ……わかってる、

 ぐいっとなみだをぬぐったぎろろくんは、きちんとたちあがって、けろろくんをまっすぐにみあげる。またけろろくんはわらう。よし、と、うれしそうに。
 そうやって、ふたりがぼくをみる。
 だいじょうぶか、なんて、いいながら、てをさしのべるのだ。そういうとき、ぼくはたまらなく、なきだしそうになってしまう。

 ……またこわされたら、どうするの。
 そんなの、またなおすにきまってるだろ?
 なおすまえから、こわれることをかんがえるのは、よくないぞ。

 かおをあげられないぼくを、ふたりがひっぱりあげてくれるときのきもちは、どうやってもことばにできない。たぶんぼくはわらいたい。なきわらいみたいなかおで、こんなにもしあわせだとつたえるために、わらってみせたい。
 ふたりはきれいだった。
 なんねんたとうと、ふたりきっとこんなふうに、うそみたいにきれいなのだろうなあと、ぼんやりとかんがえる。ぼくもまた、なんねんたとうと、こうやって、なきたくなるのだろう。




 28.ファンタジア
 ふわふわさせたかった。うまくいかなかった。


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