死合わせ
「ねえねえ、名前」
どうした、サイケ。
「おれね、今日臨也くんにメンテしてもらったんだ」
うん。それで?
「そしたらね、臨也くん何て言ったと思う?」
わからないなあ。
「順調に赤ちゃん育ってるって!おれ嬉しくて臨也くんに抱きついちゃった」
俺も嬉しいけど、臨也に抱きついたのはちょっと妬けるな。
「えへ、ごめんね。でもいちばん大好きなのは名前だよ!」
俺もだよ、サイケ。愛してる。
「うん!おれ幸せだなぁ!」
そうか。
「名前がいて、赤ちゃんもいて、みんな大好きどうしで幸せ」
サイケが幸せなら、俺も幸せだ。
「えへへ」
サイケは優しい手付きで平坦なお腹を撫でる。男同士で子供は出来ない。そんなこと分かりきってるんだ。
きっと、サイケだって。
気づいてるからこそ、こうして俺の口を塞いで現実から目を逸らすんだ。
「名前、名前、名前……好きだよ大好き、名前大好き愛してる」
俺も愛してる。そう伝えたいのに口は塞がれているから話せない。
「ねえ、名前……」
なあに。
「ずっと、ずーっと、おれといてね。家族になろうね」
そんなの断るわけがないのに。拒絶が怖いからサイケは俺の口を塞ぐ。
ああ、今すぐに伝えたいのに。
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夢主は死んでます。