赤い糸で絞殺






広い部屋の中心に黒で統一されたベッドの上にある不自然な膨らみ。そこに俺はいる。
こうして体を丸めながら携帯を握りしめ、恋人の帰りを待つ。
不意にドアが開いた音が聞こえ、体がビクッと怯えを隠さずに跳ねる。

「臨也」
「っ!!」

聞き慣れた声に優しく名前を呼ばれ、急いでベッドから飛び出して名前に抱きついた。必死に名前の名前を呼びながら肩に顔を押しつける。こうすると凄く凄く安心するんだ。

「ただいま」
「おかえり…っ」
「こんな震えて…怖かったのか?」
「名前がっ、帰ってくる…す、こし前…た、宅配便が来て…っな、何回もインターホンを…鳴らしてきて、」

怖かった、と呟くと思わず涙で視界が潤む。もしこのマンションがオートロックじゃなくて玄関のドアに直接宅配便が来たら、今の比じゃないくらい怯えていただろう。

「そうか…ごめんな、もうちょっと早く帰ってこれから良かったな」
「ううん!帰ってきてくれただけで嬉しい…」

名前がこうして帰ってきてくれるだけで安心する。優しく微笑んでくれる名前が本当に好き。やっぱりまだ一人で家に留守番するのは心配だけど、名前に今の仕事を止めてもらうわけにはいかないし、どうしようもない。

「名前…名前、」
「ん、どうした?」
「もっと…強く抱きしめてよ…。俺を名前だけにして…」

朝から夕方までの間、名前がいなくて本当に怖いんだ。度々来る名前からのメールと電話だけが支え。それも来ない日だってある。忙しいだろうから無理強い出来ない。

だから、帰ってきたときくらいたくさん甘えてもいいよね。

「臨也…好きだ」
「うん、俺もだよ。名前だけ…名前しかいないんだ」

本当に名前だけなんだ。
毎日の暗闇と恐怖の中の光。
俺は縋るしかないけれど、それを許して受け入れてくれる名前が好きで、大好きで、愛してる。

名前がいない生活なんていらない。
そんなの生きる意味がない。

「名前、名前…名前…」
「もっともっと、俺に縋ればいい。依存したらいい。俺無しじゃあ生きれないくらいに」

そうやって俺を求めてくれるから、抜け出せなくなる。

「…もう、なってるよ」

世界には名前と俺だけでいい。




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人間不信で引きこもりな臨也でした。とりあえず夢主に依存してほしかったんですw


  
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