続きはまた後で






「きゃああああっ!男おおおおお!」

ガシャーン、と大きな音、悲鳴、鈍い音。何があったのかは店員のみんなが把握した。今この場にいない男は…。

「博臣だ…」
「相馬だな」
「相馬さんですね…」

伊波の走り去っていく姿が見え、音が聞こえたスタッフルームへと向かう。そこには案の定殴られてへばっている博臣の姿があった。

「博臣ー」
「!名前君!」

声をかけると勢いよく顔を上げた博臣の頬は赤く腫れている。俺もたまに殴られるが、尋常じゃない痛みだ。小鳥遊は毎日何発もくらって何で生きてられるんだろうか。

「ほら、立って」
「うー…痛いよー痛すぎて死んじゃうー名前君が甘やかしてくれないと死んじゃうよー」
「超元気じゃねえか」

と言いつつも腰に抱きついてくる博臣の頭を撫でてしまうのは俺がこいつに甘いからだろう。

「えへへ、名前君やさしー」
「大丈夫なら離れろよ」
「痛すぎて死んじゃうよおおー」
「お前……」

ここぞとばかりに甘えてくる博臣。こんなん誰かに見られたらドン引きされるぞ。しかし今のこの状態の博臣に言っても大人しく離れてはくれなさそうだな。

「まだ痛むか?」
「痛いよ。名前君だって殴られるでしょ?なかなか痛みは引かないよ」
「…まあ、そうだけど」

殴られた頬に手を添えると、赤くなっている見た目通り、熱をもっていた。すり、とさすると目を細めてもっとと言う。

「早く戻らないと仕事だろ?」
「んんー…今俺休憩時間だからだいじょーぶ」
「俺は仕事だから、もう行くぞ」
「やーだ」

くっそ可愛いなこいつ。
普段は情報を駆使して人を脅したりドSだったりしてる博臣が、俺の前ではこんなにふにゃふにゃで凄い甘えん坊みたいになるんだ。
そのギャップがたまらなく可愛くて、だから俺は博臣を思いきり甘やかしてしまうんだろうなあ。

「苗字ー、そろそろ戻ってこーい」

厨房から佐藤の声が聞こえる。もう行かないとやばいな。博臣にも聞こえた俺を呼ぶ声に、体を反応させて更に強く腰に抱きついた。

「っ、おい、博臣…」
「ちゅーして」
「……仕事中だぞ」
「うん。だからちゅーしてよ」

だからになってない。
でもこいつ、言う通りにしないと絶対離れない。現に腕の力が強くなっていってる。地味に痛い。

「……博臣」
「え?」

名前を呼ばれてぱっと顔を上げた瞬間にさっきまで強請られていたキスをした。
突然口内に入ってきた舌に一瞬対応が遅れた博臣。終わる頃には息が上がっていた。

「は、はふ…あ…名前く…、」
「バイト終わったら、家でもっと強請らせてやるからそれまで我慢、な」
「……っ!」

赤い顔で固まった博臣に触れるだけのキスをして、俺は厨房へ戻った。


遅いと佐藤に殴られたが、俺の機嫌はとても良かった。





─────
わーきんぐ大好きです。
杏やち、佐ぽぷ、相佐が好きですマイナーなんて言わせない←

ぽぷらが一番可愛い^^


  
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -