真夜中の公園


会いたいんだけど。

そんな一行だけのメールを受け取ってすぐに寮を抜け出した。
自転車置き場に置いてある誰のかもわからないものを引きずり出す。
鍵かけてないのが悪い、ちゃんと返すからいいよね。
自分を正当化してペダルをこいだ。
目指すはいつもの待ち合わせ場所。

「白河先輩!」
「…遅い」

案の定彼はいつもの公園のブランコに揺られていた。

「これでも全速力で来たんですよ、でも、遅くなってすいません」
「…別にいいけど」

すとん。
ブランコに乗るのなんていつぶりかな。

「誰の自転車なの、あれ」
「……さぁ?わかんないですけど、いいんですよ」
「………お前なんか警察につかまればいいんだ」
「だって先輩に早く会いたかったんですもん、仕方ないです」

警察だって許してくれます、白河先輩は控えめに笑った。

「僕を待たせたことと自転車勝手に使った罰として、」

白河先輩って呼ぶの禁止。

はい、よろこんで、勝之先輩。


2012/08/25 それでお互いに顔を真っ赤にしてればいいんだ。





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