01


おかしいよな、やっぱり。
それはわかってるんだけど。

「三宅おはよう。」
「あ、おはよう東条くん。」

でも、キラっと効果音がつきそうなくらい爽やかに笑う東条くんがかっこいいとか、そんなこと思っちゃうおれがいるわけで。



東条くんとはクラスも、部活も同じで結構一緒にいることが多い。
初めて話をした時から、爽やかだなー、とか、かっこいいなー、とか思っていた。
でもなんか最近変なんだ。
こう、なんて言ったらいいの?
あの、んー、こう、胸が痛いってゆうか、締め付けられるってゆうか。
何なんだと思う?
と、中学が同じだった金丸に相談してみた。

「…その話聞く限りだったら、恋だと思うけど。」

金丸はなんでもないようにさらりと言ってのけた。

「いや、それはね、俺だって思ったよ?でもね、ちょっと考えればわかると思うんだけども、おれも、東条くんも、男なの。」
「そんな丁寧に言わなくたってわかるわバカ。」
「…もうこの際だからそのバカは無視するよ。」
「そう言ってる時点で無視できてないだろバカ。」
「前から思ってたんだけど、金丸っておれにバカバカ言い過ぎじゃない?」
「本当のことだから仕方ない。」

ごもっともな意見だから言い返せない自分が悲しい。

「てゆうか話の内容ズレてる。これがほんとに恋だったらおれちょっとやばいんじゃないの、ってゆうかなり勇気を出してした相談なんだけど。真面目に相談のってよ。」
「俺は真面目だろ。お前が勝手にズラしてるだけだから。」

ほんとに金丸はひどい。
おれに冷たすぎ。
泣きそう。

「どーしたらいいんだろう。おれはいつの間に道を踏み外したんだろう。ついこの間まで普通だった気がするのに。」
「…あのなぁ、別におかしい訳じゃないだろ。」
「…はい?」

金丸の意外な言葉のせいで頭に?が浮かぶ。

「世の中には同性を好きになるやつだっているだろ。ありえないほどおかしいってわけじゃねえよ。」
「金丸…!おれ、初めて金丸と友達になってよかったって思えた!」
「喧嘩売ってんのかコラ。」

真面目に相談なんかのるんじゃなかった、と言っている金丸。
でもほんとのことなんだもんっ。

「金丸っていつもおれにバカバカ言ってくるけど、それも愛情の裏返しなんだね!」
「今のお前の状況わかってる?そうとうキモイぞ。そんなことしてると東条にキモがられるぞ。」
「…やっぱ金丸はひどいや。それに東条くんはそんな子じゃありませんー。金丸じゃないんだからさぁ。」
「お前まじむかつくな。」


そうか、これが恋か。
(うわっ、そうわかっちゃうと東条くんと話するとき緊張しちゃうな!)(お前、自分がキモイことほんとにわかってる?)



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