10


夢をみた。
涙を流す夢だった。


朝起きたら目尻が濡れていた。
なんだか酷く悲しい夢を見た気がする。
なにひとつ思い出せないけど。
目をこすって起き上がる。
途端頭に走る痛み。
まだ風邪治ってないみたいだ。
昨日金丸が薬を出したときのまま、三段ボックスの上においてある救急箱に体温計が入ってるはず。
…てゆうか、今何時だ?
同室の人が誰もいないなんて。
壁につけられている時計をみる。
8時50分。
もうすでに遅刻の時間だ。
もういいや、体だるいし、学校は休んでしまおう。
そう思ってのろのろ起き上がる。
体温計を引っ張り出して熱をはかっていると机においてある携帯が光っているのが目に入った。
青いライト、メールだ。
メール4通。


from.金丸信二
sub.無題

無理すんなよ。今日は休んどけ。
学校にはちゃんと言ってあるから。


from.小湊春市
sub.お大事に。

ゆっくり休んでね。
部活も今日はおやすみね。


from.御幸一也
sub.無題

風邪ひくなんて体調管理がなってない証拠
人騙す練習してる暇あったらちゃんとしろ!


金丸と春市くんの優しさに嬉しくなると同時に御幸先輩のメールに呆れた。
この人、結構根に持つタイプだ。
もう一通のメールをみようとして体温計がピピピ、と電子音を鳴らす。
37.5、昨日よりは下がったけどまだ微熱。
ずる休みにならなくてよかった。
体温計と救急箱を持ってベッドに戻る。
近くにそれらを置いてまた寝転がる。
最後のメールを見ようと閉じた携帯をまた開く。


from.東条秀明
sub.昨日の

なかったことにはしないよ。
部活終わったらすぐ行く。
体お大事に。


…昨日?
なかったことにする?何を?
あぁ、やばい、何か重大なことを口走ってしまった様子。
思い出せない、全く。
昨日の夜、金丸も言ってたような?

「お前東条に何言ったんだよ」

ほんと、何言ったんだよ、おれ。
何も思い出せない。
とろとろとまぶたが落ちて行く。
東条くんに聞けば、いっか…。すやすや。






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -