「好きなみたいなんだ、塚原くんのことが」
困ったように笑って言われても、こっちのほうが困る。
「生徒と教師の恋愛は禁止ですよ」
「うん、わかってはいるんだけどね」
それでも好きなんだからしかたないよ。
当たり前のように言われたって。
「無理です」
「先生と生徒だから?」
「それは関係ないです」
「男同士だから?」
「違います」
「じゃあなんで?」
「付き合ってる人がいるんで」
「誰?」
名前を出すのは憚られて口をつぐんだ。
「要、帰ろ!」
そこにやってきた冬也。
タイミングがいいのか悪いのか。
「…もしかして高崎くんと付き合ってるの?」
「……はい」
「そっか」
「せ、先生違うんです」
「ん?」
「先生、違うんです」
「冬也?何言って」
教室から出ていこうとする先生を追いかけて冬也は言う。
「待って、先生!俺が好きなのは先生です!ねえ先生!待って!」
視界が真っ暗になった気がした。
今日もまた、
空が暗くなりだした下校時間間際のことだった。