【恐らく次もその次もいつまでも】


 失敗。この前も失敗。これも失敗。次も失敗。いつも失敗。何をやっても失敗。僕は失敗。僕を作ったのは失敗。僕は失敗作。僕は役立たず。いったい僕はどれだけ失敗をするのだろうか。
 ユーリは成功。何をやっても成功。次もきっと成功。いつも成功。彼女は成功。彼女を作ったのは成功。彼女は成功例。彼女は役に立つ。いったい彼女はどれほどの成功例を見せるのだろうか。

 僕はそろそろ誰を恨んでいるのか分からなくなってきた。僕をこんな役立たずとして作った御父様か、それとも僕を役立たずと罵る御父様か、それともそれとも僕を愛さない御父様か。あ、もしくは成功例のユーリとか、失敗作の僕自身だろうか。知らない。分からない。そんなの、分かるわけがない。

 彼女は幸せだ。僕と違って。でも僕だって幸せだ。僕は御父様の為に動ける。御父様を喜ばせることが出来る。御父様を裏切った、彼女とは違って。
 でも御父様はそんな僕よりユーリの方がいいと言う。不思議だ。何故だろう。僕もちょっとは役に立つのに。ああ、きっとそんな僕よりもユーリの方がずっと役に立つからだ。きっとそうだ。やっぱり僕は役立たず。使えない子。要らない子。妹の代用品にすらなれない。

 テオドールもそう言う。他の部下もそう言う。兵部もきっとそう言う。世界が恐らくそう言う。でもそう言ってくれる程世界は僕を見ていない。ああ、なんて役に立たない。

 僕はなんなのだろう。僕に正体なんてあるのだろうか。中身なんて存在するのだろうか。ああ、そんな物、母の胎内へ置いてきてしまったのだろう。だって体を掻き毟ってもそんな物ちらりとも出てこない。なんて空っぽの人間。この、この、役立たずめ。

 役立たず、役立たず。そろそろいい加減、僕は何の役に立ちたいのか分からなくなってきた。





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