一途 | ナノ
私はずるい。
ずるくて、弱い。
人を傷つけることしか出来ないのだろうか。
『好きです』
『好き』
『好きだよ』
『好きだ』
みんな、優しい。
優しすぎて悲しくなる。
崩れた紅の塔から狂が居なくなって…
空いてしまった心の隙間。
誰もが埋めようとしてくれる。
とても倖せなことかもしれないけれど…
変わらぬ心は、彼らを裏切るように残酷だ。
周りを傷つけても自分の想いを貫くべきなのだろうか。
優しい愛に包まれて、縋ってしまえば楽なんじゃないか。
何度も思う。
それでも。
「ごめんなさい」
いつか探し出したら。
巡り逢えたら。
自分はまた、たまらなく惹かれてしまうのだ。
背伸びしても届かない長身も、
護ってくれた傷だらけの腕も、
すべてを背負った大きな背中も、
耳に響く低い声も、
気怠げな仕草も。
全部。全部。
私が甘えてしまったら、結局辛い思いをすることになる。
私だけじゃない。
みんなが。
今だって。
『ゆや…』
たった一度の呼び掛けが、
耳に残って離れない。
『倖せになれよ』
どうして。
どうして、そんなこと言うの。
倖せって何?
私の倖せって何?
みんなが望むとしても。
望んでくれるとしても。
たとえ、狂さえも…望んでいたとしても。
想いは変わらない。
揺らいでも、変わらない。
代わりなんていない。
「狂が…好き…」
溢れた涙は音もなく零れた。
【一途】
(ごめんなさい。ごめんなさい。
貴方だけを…心から愛してる。)
*****
【狂←ゆや←他キャラ】は好き。
一途って罪?
私は一途なゆやが好き。
戻る