crosswise | ナノ






裏に置くほどじゃないですが…若干裏です。
普通にエロくても平気な方、どうぞ。














辛めの酒を一気に仰げば、喉が少しひりつく。
それはほんの一瞬で、喉元を通り過ぎればなんともない。

ただ、その一瞬の熱さが忘れ難い。



【crosswise】







「やっ…あ…んっ」
耳に残る、甘い甘い吐息。
鮮やかに舞う蝶を誘う為に、狂おしく咲く華。

頭の芯が疼いた。
いや、躯の奥深くか。

酔ったか?

何に?
酒に?女に?

自問自答しても答えは出ない。


高みを覗く瞬間は愛おしい。
この感覚が、クセになる。

徐々に磨り減るような
ギリギリの、狭間。

それは女を抱いた瞬間であったり、
刀をぶつけ合う瞬間であったり。


あぁ、そうか。
生命(いのち)を垣間見る、一瞬が好きなのか。






夢なんて、ない。
けれど、一度見てしまった夢はなかなか褪めないことを知っている。
「アイツ」の夢だって…。

一度燃え出した熱は、下がることを知らない。
少しずつ、少しずつ…
燻っていた熱さは、ゴウゴウと音をたてて燃え滾る。

一歩間違えば、
二度と戻ることは出来ない。


次第に、夢か現か
分からなくなる。






「あ…っ…」
濡れた瞳で物欲しげに見つめる表情(カオ)は堪らない。
焦らすだけ焦らした後で、淫らに溺れさせる。

オレだけ見つめて、オレだけ感じればいい。
永遠なんて胡散臭い。ただ、この一瞬だけは。


貫いた高揚感は胸を騒がせる。






一瞬の想いが幾度も重なって、いつの間にか胸に棲みついた。
こんな鬼の胸でも案外居心地がいいのか、出て行く気配はない。


駆け抜けた日々は無駄ではない。
今だって歩みを止めることはないが、速さを緩めることを覚えた。


同時に、失いたくないものが増えた。


ずっと攻め続けることに慣れていた。

護りに入る姿は想像がつかなかったが、
たいして変わらないかもしれない。


どちらも強さが不可欠だ。
最強の座を誰かに明け渡す気はさらさらない。


オレは勝つ。
勝ち続ける。

信念がぶつかれば、
相手を斬るし、斃す。


だからといって名を轟かせようとは思わない。
そのうち時代(とき)の露として消えたっていい。


勝手に生きて、勝手に消える。
ただそれだけだ。






刀と刀が交わる刹那。
視線と共に火花が散る。


鼓動が高鳴る。
いや、高鳴るなんてもんじゃねぇ。

鼓動が暴走する。

生と死の瀬戸際。
生命(いのち)を何よりも感じる。






孤独を知る奴は、愛に餓える。
愛を知った奴は、孤独を恐れる。

孤独も愛も紙一重。
どちらも自覚した時からオカシクなる。


「っ…き、…あっ…」


何もかも吹き飛ばしてしまいたい。

貫き、互いを躯全体で感じながら。


オレはお前の。
お前はオレの。

存在を確かめながら。


「っ、きょ、ぅ…」


紅く色づいた声に、肢体に、魅せられて。
オレに反応するのが愛しくて。


躯だけではない。


魂がざわつく。


揺れる。

揺らされて、堕ちる。


一瞬の熱さは知っていた。


その先の…征服欲を満たすだけでない、
肌の触れ合う心地よさまで知ってしまった。



堕ちてしまったら、二度と戻れない。



「きょぉ…!」




時空(とき)の露に消える。









*****
私の鬼眼イメージ詰め込んでみました。
いつか書きたいと5年間思ってた話。
本当は歌詞引用したいけど、著作権があるので…残念無念。
*ごとに歌詞が入ります。そのつもりで書いてます。
TMRの『crosswise』を聴きながら読んで頂ければ、それ以上の幸せはありません。
究極の鬼眼ソングだと思うんだ!


命を削る快楽も嫌いじゃなさそう。
案外M?(←)
でも本気で壊すほど自分の快楽を訴えたい願望はありそう。
なんだかんだ優しいから出来ないと思いますが。ゆや子相手には。(笑)
征服欲以外の肌が触れ合う心地よさとかゆや子で初めて知ればいいと思うよ。
鬼眼単体でも大好きですが、ゆやあっての後半の狂だから、味があって大好っき!!v










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