・さよならの時
「じゃあ」
一言呟いて、繋いだ手が放れる。
寮の目の前。
楽しかった公休はもう終わり。
名残惜しくて…無言で袖を掴んだ。
振り返った堂上は、郁の顔を見て苦笑する。
「なんて顔してんだ」
「し、失礼な!」
今の自分の顔は見えないけど、これが元々の顔です!
そんな顔するな、と頭に触れる大きな手。
気持ちが緩む、不思議な手。
「また明日な」
後頭部に回った手に、ちょっとだけ下へ引き寄せられ、あたたかい感触が唇を掠めた。
*****
(別れの言葉なんて、言えなかった)
あ〜もうバカップルめ!!←
乙女でごめんなさい。
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