最後の人 | ナノ





恋をした。

たった一人のあなたに。





【最後の人】





「やっぱり悔しいよね」
「…うん」
しみじみと呟く珊瑚の言葉に、かごめは小さく頷いた。

「…自分ばかりが好きみたいでさ」
いつも浮気ばかりの弥勒に対して、ヤキモチを妬くのに疲れた、と彼女は言っていた。
本当に自分を好いてくれているのか、他の多くの女性と同じなのではないか、と不安になる時がある、とも言っていた。

「ヤキモチは…相手を好きだってことを、改めて自覚しちゃうからね」
かごめと犬夜叉の場合、二人とも妬くし、どちらかと言えば彼の方が独占欲は強い。
はっきり口にすれことはないが、彼が自分を好いてくれているという気持ちも常日頃の言動から伝わってくる。

ただ、彼の場合かごめ一人だけが特別…というわけではなかった。

「かごめちゃんはホント心が広いよ」
「そんなこと…ないよ」

弥勒にとって珊瑚は『ただ一人の特別な女』だ。

それがすごく羨ましい。

自分は…『特別な二人』のうちの一人だ。

もう一人の存在をわかっている。

嫌と言うほど、わかりきっている。


「最初の人になりたかった。法師様の目に映る、最初で最後の人に…」
そしたら、他の女性に見向きもしなかっただろうか?

「私も…」
最初の人になれたらどんなによかったか。
あんなに愛されて。大切にされて。

例え悲しい結末が待ち受けていようとも…。


そう考えてしまうと、胸が張り裂けそうに痛んだ。


嫌だ。

やっぱり悲しい結末なんて嫌だ。


彼に生きていてほしい。


未来は変えられる。

だから、変えたい。


「羨ましがったって、私は私だから…」

何度も出した答え。


「負けないよ」

誰にも。自分自身にも。


「そうだね」
凛と告げたかごめに珊瑚も頷く。


恋はいいことばかりじゃないけれど。

それでもやっぱり好きだから。


「…最後の人になれたらいいな」

彼にとって自分は最初の人じゃないけれど、

私にとっては最初で最後の人だから。


願わくば、彼にとっての最後の人になりたい。


最後で…最愛の人でありたい。










*****
ひっさびさに二次文章書くとなんかやっぱり雰囲気が違いますね。
混沌としててすみません。
文章を大人に成長させたい…。

10〜5年前あんなにはまっていた犬夜叉ですが、まともに文章にしたのは実は初めてです。
これから犬かご桔の三角関係とか弥珊書いていけたらな〜って思ってます。
もちろんカプや関係は原作準拠で。

犬夜叉にとって最愛の人って結局誰なんだろ?

私はもちろんかごめだと思ってるけど、断言は…うーん。
桔梗を想う気持ちもなんだかわかるから、かごめだって強く信じることしかできない。

『かごめはおれに会うために生まれてきてくれたんだ。
そしておれも―― かごめのために…』

これが犬かご桔三角関係の答えかな、とも思うのですが、『ために…』の続きが気になる。
答えは犬夜叉本人と留美子先生のみぞ知る。

死んだ人の思い出は美しくなるのみだから、生きてる人は叶わない。って聞いたことがあります。

でも生きてる人にしか出来ないことだってある。
…傍にいるってこと。

後を追いたいくらいに辛くても、生きてれば楽しいことだって嬉しいことだってあるから。前を向いて生きていけるように。辛さも楽しさも全部一緒に。
傍で思いを分かち合える人がいるってすごく心強いことだと思います。

それをかごめちゃんはすごく表してる気がして…。

悲しみに濡れた花見てちょっと考えてしまいました。

大事な人が死ぬのは悲しいよ。
恋人も家族も友達も。











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