親子天体教室 | ナノ



「ねぇ、パパ…ききたいことがあるの」
珍しく仕事が休みの日曜日。
小学生の娘が新聞を読む父親にそう語りかけた。

「改まってどうした?」
何か言いたいことがある時は、口を開く随分前から、彼の近くにくっついて離れない。
そういう所は母親にそっくりだ。

「あのね…地球って太陽の周りを回ってるんでしょ?」
最近は学校で習ったことなども、確かめるように聞いてくる。
勉強熱心な所は父親譲りか。

「そうだよ。また一つ賢くなったな」
軽く微笑んで頭を撫でてやると、彼女も嬉しそうに目を細めた。

最近、星の話が多い。
天体が好きなのか?

「それでね…」
話を続けようとする娘の顔が、少しだけ曇った。
これからが本題のようだ。

「月は地球の周りを回ってるんだよね?水星とか金星とか…ほかの星は太陽の周りなのに」
「そうだな。月は違うな」
聞きたいことが、だいたい予想はついた。

「どうして月だけ地球なの?」

…予想通りの質問。

「そうだなぁ…」
まず月は太陽系の惑星じゃないってことから説明していかなくてはならないのか…。
小学生には少しややこしい気がする。

どう言うべきか悩んでいると。

「おととい、みんなで何でだろ〜って話してね、帰ってからママに聞いてみたの」
「ママに?」
アイツはどう答えたんだ?
上手く説明出来るとは…思えない。

「そしたらママ、じしんまんまんでそくとーしたの」
「即答?」
珍しいこともあるものだ。

「でもママ間違ってたんだよ!!あんまりママがじしんまんまんだったから、みんなにも言ったら…あたし笑われたもん!!」
「ハハハ、間違ってたのか」
アイツらしいと言えばアイツらしい。

「もぉママはしんよー出来ないね!!」
「何て言ってたんだ?」
頬を膨らませて怒る娘を宥めつつ、ずっと気になっていたことを聞いてみる。

「…好きだから」
彼女はムッとしながら言った。
「え?」
言葉の意味が理解出来ない。


「月は地球に恋してるから、だって」


「……」

「パパ?」


やっぱり…

アイツらしい答えだ。



******
仲良し親子万歳♪
考えてるパラレル長編の番外編。
医者と専業主婦(または看護師)とピンク頭の娘の話。






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