親子天体教室A | ナノ
「月は衛星って言って…」
「えーせい?」
日曜の朝は親子天体教室。
最近の週末行事のようなものだ。
「漢字で書くと…」
新聞紙に挟まっていた広告の裏に、少し大きく衛星と書く。
「まもるほし?」
キョトンとしながら、目の前の字を読む愛娘。
「よく知ってるな」
「パパの名前!!」
「そう」
「じゃあ…月は地球をまもる、パパの星?」
「いや…」
月が自分の星と言う、娘の質問にはすぐに返せたのだが…
月が地球をまもる、という一言に、父親はすぐに返事ができなかった。
「そうね。そうだといいわね。でもパパじゃなくて月はママの星よ」
突然の聞き慣れた声に、二人は軽く驚く。
衛の座る大きなソファーの後ろには、洗濯を終えた妻が立っていた。
「ママ!!」
「ママもお勉強会に参加させてもらおうかしら」
こないだ怒られちゃったし、と悪戯っぽく笑う。
「あれはママが間違え教えたから〜…」
「間違ってないんだけどね…」
言ってちらりと旦那に目を向けた。
「まだ言ってる〜!!」
自分の否を認めない母親に、娘はプゥと頬を膨らませている。
そういう仕草はやっぱり母親そっくりだ。
「でも、月がママの星なら…どうしてパパの名前がついてるんだろうね?」
ふと思い立ったように娘が問いだした。
「衛星?」
「うん」
「そうねぇ…」
二人してう〜ん、と考え込む。
その疑問自体が、すでに天文学や物理学で説明できるものではなくなっている。
でも、二人の求めるような答えなら…。
「それこそ一番分かりやすいんじゃないか?」
ソファーの後ろの妻に顔を向け、目を合わせてから微笑む。
「?」
「??」
不思議そうにしている二人に一言。
「俺のもの」
きっと、彼女の星に自分の名前をつけて主張しているのだ。
「月がママならパパのもの」
誰にも渡したくない。
どうしようもない独占欲。
「……」
「……」
母子は二人して目を合わせる。
そして…
「名前なんかつけなくても、月は地球から離れられないのに」
少ししゃがみ込み、照れたようにうさぎは耳元で囁いた。
***
地場家の天体教室は、天文学や物理学とはまったく違った視点からの天体思考ですv笑
ラストちびうさ居づらいですね〃
ラブAな両親には困っちゃうわ〃〃と思い始める小学生v笑
でも、書いといてなんですが、まもちゃんはなかなか俺のものとか言わなさそうだなぁとも思います;;
渡したくない。
まもちゃんは渡さない、とは言わなそう。
でも…
絶対離さないで。渡さないで。
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