らっきょ | ナノ
らっきょ
マリューの方が先に仕事を終えたので、久しぶりに家に帰って晩御飯を作っていた。ムウも今日から日を跨ぐ休暇期間なので、二人の家に帰るはずだ。
なのに、マリューも把握しているムウの勤務時間がとっくに終わっても、なかなか彼は帰ってこなかった。
最初は残業だろうか、と思っていたのだが、一人で待っているとだんだん不安になってくる。
マリューに連絡しそびれる残業くらいなら、生きてはいるはずだ。でも、何かがあってどこかで記憶改竄なんてされていたりしたら……。
さすがにそれはないと自分に言い聞かせるが、マリューにとっては軽い(一般的には軽くない)トラウマになっていた。
増えていく揚げ物を見つめながら、これが出来上がったら連絡をしようと心に決める。
丁度その時。
ガチャガチャと玄関の鍵を開ける音がした。
「ムウ!」
「すまん。調整が長引いて遅くなっ……」
帰るなり玄関でいきなりマリューが抱きついてきたので、驚くムウ。
「私は仕事じゃないんだから、心配するから連絡くらい頂戴!」
ホッとするのと同時に、どうして連絡くれなかったの、という気持ちが沸き上がってきてそのまま訴えた。
「承知いたしました」
「おかえりなさい」
「ただいま」
微笑みあってキスをした。
*
「なんか怒ってる?」
大量の揚げ物を前に、ムウがマリューに尋ねる。
「あなたが遅いから作りすぎちゃったわ」
マリューは小さくため息をついた。
「時間があったからソースも作ったの」
「すげぇ。どんなソース?」
興味深そうにマリューの手元を覗き込む。
「らっきょう漬け」
「え?それって美味しいの?」
ムウの表情に食えるの?と書いてある。
「食べて」
マリューはそれ以上何も言わず、ムウの分の揚げ物とソース、キャベツが盛り付けてある皿を手渡す。
「タルタルソースにしてみたの」
普段は玉ねぎとピクルスを使っているが、なんとなくらっきょう漬けでもいけると思って作ってみた。なかなか帰ってこないムウの心配をしていたので、味見をしていないが。
「いただきます」
どうだろう。マリューお手製のタルタルソースをたっぷりつけたエビフライを、ムウはパクりと一口食べた。
「美味い!」
もぐもぐと噛み締めながら美味しそうに告げる。
「あなたの帰る場所は此処よ。まっすぐ私の所へ帰ってきて」
餌付けしているわけではないが。本当に心配したのだ。
「勤務時間とか関係なく、24時間365日そのつもりだよ」
とてもとても嬉しそうに笑うので、マリューも毒気を抜かれてしまった。
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「お前の帰る場所は此処だ。まっすぐ俺の所へ帰ってこい」の台詞を使ってマリューを書きましょう。
Xで診断メーカーのお題やってみたやつ。
マリュムウのつもりだよ!