ただいまとおかえりの距離 | ナノ



「おかえりなさい」

日が傾きだした、夕飯時。
一定のリズムで包丁とまな板の音を響かせながら、ゆやは後ろの人物にそう声をかけた。

「……ただいま」

声を掛けられた人物は、暫く家を留守にしていた漢だ。
暫く、というのはここ一週間くらい。もはや…家出に近い。

「もうすぐ夕飯出来るけど…お風呂も沸いてるわよ。先に入る?」
切り刻んだ具材を手際よく鍋に入れてから、ゆやはくるりと振り返る。

「…今日帰るってよく分かったな」
浮浪漢…狂はゆやの質問には応えず、怪訝な顔で呟いた。
そろそろ帰ろうか、と思い立ったのは、今日の朝。何となくだ。
だが、ゆやは狂が帰ってくるのが分かり切っていたように、風呂まで準備している。

「そろそろ帰ってくるかな〜って思って」
平然と言い切るゆやの思考回路が狂には不思議でならない。

「……」

「で、どうするの?夕飯はあと煮込み上がるのを待つだけだけど…お風呂入るなら仕上げは後にするわ。夕飯?お風呂?どっち!?」

内容は新婚に定番の、ご飯にします?お風呂にします?それとも…、と似たようなものなのに…どうも色っぽく聞こえないのはなぜだろう。

「…風呂」
「わかっ…って、え!?何!?」
言うなり、狂はゆやの腰と膝の後ろに腕を回し、そのまま抱え上げる。突然横抱きにされたゆやは、真っ赤になりながら驚きの声を上げた。

「…風呂、入る」
再度この後の行動を告げる。

「ちょっ…だったら下ろしてよ!!」
狂の意図がだいたい予想はつくけれども…ゆやはあくまで抵抗した。

「まだ入ってねぇんだろ?」
「沸かしたばかりだし…それは、そうだけど」
「一番風呂好きだろ」
「うん…でもこのままじゃのんびり入れないみたいだし…一番も二番も関係ないじゃない」
うまく言いくるめようとする狂に、呆れた声で返した。

「よくわかってんじゃねぇか」
「せっかくのお湯が冷めちゃう」
「…綺麗にしてやるよ」
言いながら、ニヤリと口角が吊り上がる。

微妙に会話がかみ合っていないのだが、ゆやは諦めたらしく、狂の首に手を回した。


彼は気づいているのだろうか?

ゆやがおかえり、と言う度に…
ただいまの返事までの間が短くなっていることに。

昔はただいまなんて返さなかった。
最初は長い間があった。


自分はちゃんと、彼の帰る場所になっているのだろうか?

何度いなくなっても、彼の帰る場所が自分の所ならば…

待ち続けるのも悪くない。




*****
意味不明ごめんなさい;;
やっぱり他CPに比べて断然書きやすい狂ゆや。慣れですかね。
内容が適当でごめんなさいι
定番のエロ落ち。狂ゆやはどうもエロ落ち傾向が強いですιエロは書けないくせに。

お風呂で溺れる。…互いの熱に。





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