ヤキモチ | ナノ


背は高いし、なかなか整った顔立ちしてる。
運動が出来るのは言うまでもないし…。
しかも、強い。喧嘩とか絶対負けない。
でも…それは、関係あるのかな?
…まぁ、いいや。
とにかく。
あんまり考えなかったけど、アイツはなかなかモテるんだ。



【ヤキモチ】




珍しいな、と思った。
いつも校長室で寝てるのに…。
放課後起しに行ったのに、いないなんて初めてだった。

「何処に行ったんだろう…?」
狂の行方を捜して、ゆやは学校中を巡る。
最初は、天気がいいから裏庭か何処かで寝てるのかな?と、思っていた。
でも、裏庭に行っても狂の姿はなかった。

教室で、少し話をしてて…遅くなったのがいけなかったのかな?
そんな考えが頭に浮かぶ。
でも、どうせ寝てるんだから狂の場合そんな事関係ないか。
と、すぐにその考えは打ち消された。

ずいぶん探し回ったのだが…一向に彼の姿は見当たらない。

「帰っちゃったのかしら」
諦めて、そろそろ帰ろうかとしていた時だった。

「好きです!!」

「え!?」
校舎裏。人気のないところから、誰かの告白が聞こえてきた。
「ずっと…見てました…」
女子の声。聞き覚えがあるような…でも、誰だか分からない。

ドキドキドキドキ

「ど、どうしよう…」
人の告白を聞くなんて、生まれて初めてだ。
ワザとじゃないのだが、申し訳ない気分になる。

「かっこいいな、って思ってて…でも、なかなか話し掛ける機会とかなくて…」
告白主は言葉を続けている。
急いで離れなくては。
少し気になるが、進行方向を変えて歩きだした。

だが、次の言葉を聞いてゆやの足が止まる。
「今年一緒のクラスになれたのに、四聖天とかがいて話しかけれなかったし…」
四聖天!?
「なかなか教室に顔出してくれなかったし…」
それは…
「きても、寝てるし…」
どう考えても…
「だから、今日、狂さんが教室覗いたときチャンスだと思って…こ、告白しました!!」
狂!?

聞き覚えのある声だと思ったのは…同じクラスの女子だからだ。

狂が告られた!?
嘘ぉ!?

かなり驚いてしまう。

と、同時に。

返事どうするんだろう…。

聞きたいような…
聞きたくないような…

「…あ、あの…何か言ってください!!」

告白主も返事が気になるようだ。

「……っ!!」
どうにも居たたまれなくなって…
というか、やっぱり聞いちゃいけない、聞きたくない、と思って…
走って教室に戻った。




「ど、どうしよう…!!」
ドキドキドキドキ
教室に戻り、とりあえず自分の机に鞄をおいて、落ち着こうとする。
まさか、狂が告白されてるなんて思わなかった。

あれ?…でも…何で私がこんなに狂が告白されたのを気にしなきゃいけないの?
狂が告白されようが、誰と付き合おうが、私にはまったく関係ないじゃない。
あんなアル中の面倒見なくて良くなるし…。

そう、思ったのだが。

ドキドキドキドキ

心とは裏腹に心臓のドキドキが止まらない。

「や、やだ…何で…」
自分でもよく分からない。

暫くそのまま何も出来ずに、考え込んでいたのだが…。

ガラッ

突然教室のドアが開く。
「?」
入ってきたのは。
「何だ。チンクシャ、いるんじゃねーか」
「きょ、狂!!」
「あぁ?帰るぞ」
言って、漢は教室から出て行った。
「え?ちょ、ちょっと待ってよ…」
急いでゆやも後を追う。



帰り道。
何故だか分からないが、まともに狂の顔を見ることが出来ない。
いつも、ゆやが一人で話しているのだが…それがないので、二人とも無言で歩く。
「……」
「……」
(どうしよう…)
何も話さなくても、別に狂は気にしないだろうが…
ゆやは、この沈黙に息が詰まりそうだった。
何か話そうと思うのだが、浮かんでくるのは先程のコト。

つまり…
さっきの告白の返事が気になるのだ。
(まさかOKしてたり…)
あまり教室にこない狂は知らないかもしれないけれど…
さっきの告白主。結構可愛くて、話しやすくて、男女問わずなかなか人気がある。
(付き合っちゃったり…)
意外と来る者拒まずなのかもしれない。
いきなり人の乳揉みだすような漢だから…考えられなくもない。
(確か彼女、スタイル良くて…胸も私よりあった…ような気がするし…)
狂は巨乳好きだ。多分。
だから…別に断る理由はないのだ。
…エロ魔人だし。
(でも、彼女なんて面倒くさがって作らないかも…)
今まで出来なかったのだから…。

色々と考えるのだが…
一人で考えてたって、埒が明かない。

(こうなったら…)
遠まわしにでも聞いてみよう。

「ねぇ…」
「あぁ?」
「さっき…何処に行ってたの?」
「…さっき?」
「SHL(ショートホームルーム)終わってから、校長室に行ったのに…アンタいなかったでしょ?」
「……」
かなり、遠まわしだけど…
「何処で何してたの?」
「……」

暫く間をおいて返ってきた返事は…

「…関係ねぇだろ」


聴いた瞬間、ゆやの心臓がドクン、と跳ねる。

(関係ない…)

「そうね。そうよね。狂が放課後何してようが私には関係ない…」
苦笑して、ゆやは応えた。

彼が関係ない、と応えるなんていつものことだ。
あまり自分ことを話すのが好きじゃないみたいだし…。
干渉されるのも嫌いみたいだから…。

ただ…
いつものことなのだけれど…

「誰に告白されようが、誰と付き合おうが、私には関係ないもんね」
「!?」

苦しい。

どんな表情をすればいいのか分からず、無理やり笑顔をつくって呟いた。

そして…

……。

足を速めて、少し前を歩いていた狂を追い越す。

「…聞いてたのかよ?」
背後から聞こえる低い声。
「……」
ゆやは答えない。
「オイ…」
「……」
訝しげな表情をして、狂は少し足を速める。
すると、すぐにゆやに追いた。
それでもゆやは、追いつかれまいと、さらに足を速める。
「立ち聞きか?いい趣味してんじゃねぇか」
「ち、違う!!」
足の速さは変えず、狂に追いつかれないよう注意しながら、ゆやは訴える。
「アンタを探してて…偶然…」
「……」

グイッ

「ヤッ…」

突然、片方の肩を掴まれ、後ろを振り向くような姿勢になる。
目が合ってしまった…。
「ヤダ…」
急いで俯くのだが…。


「…何泣いてやがる」

気付かれてしまった。

「泣いてなんか…」
強がってみるが…一度流れ出した涙はなかなか止まらない。
見られないように先を歩いていたのに…バレてしまった。

「…バカ女」
目の前で、涙を流すゆやを見て、狂は厭きれたように呟く。
「バ、バカじゃ…」
抗議しようとしたのだが…
遮られてしまった。

「!?」

突然、自分の唇に触れる、相手のソレ。

(な!?キ、キ、キ…)

だが、そう気付いた時には、もう既に彼は離れていた。

「〜〜〜!?」

一瞬の出来事。

「…早く帰るぞ」
そう言って、狂はまた歩き出した。

ゆやは、頬に両手を寄せる。

熱い。
顔が。
というより…
身体全体が。
湯気を噴きそうだ。

立ち止まっているゆやを置いて、狂はどんどん進んでいく。

「あ、ちょ、ちょっと待ってよ!!」

言ってようやく、ゆやも歩き出した。





涙と微熱と嫉妬

弾けて咲いた恋








*****
ジャンヌじゃん!!最後の締めがジャンヌだ!!笑
最後の嫉妬はジェラシーと読んで下さい。BGMはダイアモンドヴァ−ジンで。笑
てか、この話まとまってなくてすみません…汗
歩き出したんですよ!!ゆや子も!!恋の一歩を!!って感じの終わり方なんですが…多分分からないですよねぇ…;;(歩き始めた時には既に両想い…汗)
ちなみに、最初に狂さんが校長室にいなかったのは、丁度SHRが終わる頃に起きたんで、帰ろうと思って教室に行ったら、ゆや子がクラスメイト(男)と話してて、何だか教室に入りたくなくてドアの前にいたら告白主さんに呼び出された…という流れだったんですが…。表現できませんでした…涙。
だから題名『ヤキモチ』なんです。二人とも…みたいな。
あ〜あとがきで最後に補足するなんて最悪ですね…死。文才欲しい…。…昇進します!!

ちなみにゴミ置き場にアップしてた時のあとがき↓
ネタに困ったとき、相模さんが「侍学園で狂が誰かに告られる話」と言って下さったので、書いてみたんですが…続き書くとは思わなかったな。
こんなのになりました。相模さん。(また少女漫画だよ!!また乙女ゆや子だよ!!汗)もぉ、乙女になるのはしょうがないみたいです…。
開き直って…やっぱ狂さんもてるねvかっこいいもんね!!大好き!!
ゆや子ももてるんだろうけど…アレですね。ゆや子に近づく漢は皆狂さんが抹殺してる(!?ガンとばしてるの間違いです。多分…)という少女漫画みたいな展開希望(笑)(そんな少女漫画を希望してるから、ゆや子が乙女になるんだよ)
私が侍学園生だったら…まず、問題児クラスになるために問題起こさなきゃ!!です。
い〜な〜。やっぱ侍学園は萌え要素多すぎだよ!!(狂ゆや多いし!)
で、やっぱ一番は学ラン狂さんだよ!!かっこいいよ!!(鼻血)ヘそチラ!!(変態)好きだよ!!狂さん!!大好き!!
…どんどん壊れていくので、そろそろ終わっときます。(長くなっちゃったし…)
***
鬼眼が好きで好きでどうしようもなかった時代。今もやっぱ好き。(笑)



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