ふたり | ナノ



 二人で今日の食材を探しに行った時。木に生っている梨を見つけた。
 私の届かない位置の梨を、犬夜叉がジャンプして取る。赤い衣の袖で梨を少し拭いてから、食うか?と差し出した。熟した梨を受け取りながら、そういえば戦国時代にはリンゴがないな、と思った。

「犬夜叉、白雪姫って知ってる?」
「しらゆきひめー?」
 犬夜叉が知っているわけないと分かってはいても、聞いてみる。彼は何だそりゃ、と言いた気に聞き返してきた。

「向こうの世界のお伽話なんだけど……」
 昔、ママに絵本を読んでもらった時みたいに。きっと現代の子どもがみんな一度は聞いたことのある話を物語る。犬夜叉は時々表情を変えながら、黙って聞いていた。

「その話がどうした。……毒なんて入ってねぇぞ」
 王子様のキスで白雪姫が目覚めて、めでたしめでたし。と語ったところで、訝しげに尋ねてくる。

「どうって?」
「おれに話したってことは何かあるんだろ?」
「何か……ってわけじゃないけど……」
 ふと思ったことがあったので話しただけなのに。そう聞かれるとちょっと恥ずかしい。

「毒リンゴってどんな味がするんだろ?」
「はぁ?」
 犬夜叉が素っ頓狂な声を上げる。

「美味しいのかな?」
「毒だから不味いんじゃねーか?」
「そうかな?」
 王子様のキスで目覚めたってことは。きっとその毒は愛や恋に関係するものだったんじゃないかなって。
 恋って魔力。それこそ毒の魔法。一度味わうと…毒って分かっていても……。

「私は美味しいんじゃないかなって思う」
「毒なのに、か?」
「うん」
 手元の梨をジーッと見つめながら返事をした。

「貸せ」
 言って、スッと私の梨を奪う。
 
「ほら。毒なんて入ってねぇだろ?」
 一口齧って差し出す。シャクシャクと美味しそうな音を立ててから、梨を飲み込んだ。
 受け取った梨が夕日に染まって赤い。シャクっと音を立てて私も齧る。

「美味いか?」
「うっ」
「かごめ!?」
 胸を押さえて苦しそうな表情をした私に、犬夜叉は明らかに動揺する。

「なんちゃって……」
 冗談よ、と笑おうとしたら、いきなり後頭部を掴まれた。

「え?」
「へ?」
 そのまま勢いよく引き寄せられて、至近距離で目が合う。

「な!ばっ!!びっくりさせんな!!喉に引っかけたのかと思うじゃねぇか!」
「ご、ごめん……!!」
 お互い真っ赤になって離れて、背中合わせになった。

 今のは……引き寄せて背中を叩こうとしたの?
 それとも……。

 手元に残った梨を全部食べきるのに、すごく時間がかかりそうだ。
 ねぇ、半分食べてくれるよね?



*****
二人で一つのリンゴをかじったんだ!

結帆ちゃんリク、GARNET CROWの『ふたり』です。

なんか強引だしよく分からなくなってしまいました(笑)
曲は可愛くてめっちゃ素敵なので聞いてみて下さい〜!

遅くなった上にこんなのでごめんなさい。
リクエストありがとうございました!!





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