朝 | ナノ





風の音が聞こえる。
朝特有の静けさの中に、小さな風の音が。
かごめの世界は犬夜叉の世界に比べて、緑が極端に少ない。だから木々の匂いに包まれた向こうとは雰囲気が違う。
それでも肌に触れるひんやりとした空気は一緒だから。
そんな朝が好きだった。

「……」
三日が経った。約束の日だ。
かごめの『てすと』は今日終わるはずだ。

井戸の前で待っていても手持ち無沙汰だし、七宝が余計な茶々を入れてくるので、わざわざ迎えに来てやった。――少し早いけれど。

窓の空いてる二階の部屋がかごめの自室だ。ひらりと布切れが風に靡いている。
かーてん?だったか?
一度、悪気はなかったが引っ張って破ったことがある。
怒られた。
怒ったかごめの顔を一瞬思い出して、それがすぐに『しょうがないわね』の顔に変わる。『もー!』と呆れたように眉を吊り上げていても、最後には笑ってくれるから。犬夜叉が思い浮かべるかごめはいつも笑顔だ。

早く。早く。

駆け出して窓へと跳び乗った。






*****
犬夜叉が朝早く…かごめが寝てる時間によく来るのは、やっぱり待ちきれないからかなって。
楽しみにしてる日の朝って、落ち着かなくて早く目が覚めちゃわない?







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