小さな鬼 | ナノ
気が付くと周りは暗闇。
光はない。
どこまでも続く闇。
怖い。
だんだん目がなれてきて…うっすらと周りが見えるようになる。
そして息を飲む。
周りは一面死骸の山。
血が飛び散り、紅い海の様…。
死体は…腕がもげ…肉から骨が見えている。
もがき苦しんだ表情がはっきりと分かる。
恐い…
声がでない。
涙もでない。
ふと人の気配を後ろに感じて、振り返る。
そして驚く。
そこにいたのは小さな男の子。
自分の体よりも長い刀を持った…漆黒の髪に黒い着物の男の子。
「こんな所で何を…」
やっと声が出た。
男の子はしゃべらない。
ふと、彼の刀に目をやると…
生々しい血がこびりついている。
息が止まる。
「貴方が…」
言葉を続けようとしたが声にならなかった。
この死骸全部…。
手が震える…。
こんな小さな男の子が…。
目の前の子が自分に向かって刀を構える。
良く見れば彼にも返り血がついている。
小さな体にたくさん…。
涙がでてきた。
刀を構える小さな体を…
引き寄せて抱き締める。
斬られるかと思ったが…
彼はあらがわず、ただなされるがまま。
ただ強く…強く抱き締める。
涙が止まらない。
男の子が顔を上げて涙で濡れた私の頬に手を伸ばす。
その時初めて気付いた。
彼の眼が悲しいくらい澄んだ紅だと。
吸い込まれそうな紅。
私はこの色を知っている…
「…狂」
名前を呼ぶと同時に目が覚めた。
「夢…?」
恐かった。
ホントに…。
でも…
自分は彼のコトを抱き締めたのだ。
恐いけど…
心の底から愛おしく思いながら。
*****
狂ゆやにはまって結構すぐ書いたものです。(4年前?)
今読むと文章が拙いですが、結構気に入ってたりもします。
過去は変わらない。
現在過去未来、すべてを愛し包み込めたら。
戻る