葉桜 アキ時 | ナノ





淡く散るサクラ色と新緑の芽生え。

それはきっと、儚い想いと新たな息吹き。



「つっかれた〜!!」
「……ゆやさんのお店に行きたいと言い出したのはあなたでしょう?」
「だからって今日は朝から歩きっぱなしじゃないか!!休憩なしとかあり得ないだろ!」
しかも歩くの早いし!と文句を言いながらも必死についてくる時人に、アキラはため息をついた。

煩わしいのだが、何故か置いていくことは出来ない。
狂も幼い自分に対してこういう思いだったのだろうか?

「あと一山超えれば、ゆやさんの茶屋です」
「一山!?休みなしで一山!?」
「休みたければあなた一人で休んで下さい。道は分かるでしょう?私は先に行きます」
「…一人で休むわけないだろ!!」

強気な声にヤレヤレと思いつつ、アキラは振り返った。

そして目に入ったのは。

「…こっちはもう葉桜なんですね」
不満げな時人の後ろには、大きな山桜が咲き誇っていた。

「ん?あぁ、満開を少し過ぎたくらいかな?」
アキラの声に、時人も振り返って桜を見上げる。

「春だよな〜早くもっと暖かくならないかな」
言って屈託なく笑う。

その笑顔は年相応で。
整った顔立ちはやはり綺麗で。

「そうやって笑っていると…少しは可愛げがあるんですけどね」

「なっ!?な、何言い出すんだ!!」
耳まで真っ赤になって照れる時人。

笑顔と同じように…この表情も嫌いじゃない。



アキラは珍しく、嫌み抜きで笑った。






*****
アキ時?下手ですみません。

まだ、恋じゃない。
けど確かに芽吹く気配。

桜と共にに淡く散ったのはアキラの前の恋?


お次は果てしなくバカップルな二人。





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