安眠 | ナノ






広いベッドは、彼の匂いがする。

ふわりと抱きしめられているようで…なんだか…。





【安眠】





放課後だけで、職員会議と懇談会の準備、教務主任との話し合い、最後に校内の戸締まり。
今日も我ながらよくこなしたと思う。

帰ったら、今日終わったらテストの丸付けだ。

早めに済ませたいけれど、とりあえず腹が減った。
何か食べてから…と思うが、もう何か作ることすら面倒だ。
インスタントか作り置きか…なかったか?

そう考えながら、帰り着いたマンションの自分の部屋を見上げる。


「…ん?」

誰もいないはずの自分の部屋に明かりがついていたので驚いた。
だが、少し考えれば誰がいるのかは安易に予想がつく。

その瞬間、自然と笑みが零れた。

どうやらすぐに温かくて美味しい飯にありつけそうだ。
何よりあたたかい存在と共に。

さっきまで重かった足取りが軽くなった。



「ただいま…千鶴?」
ゆっくりと玄関のドアを開いた。

返ってきたのは、予想に反して静寂。
電気はついているが、返事がない。
いつもはパタパタと足音をたてて、笑顔で出迎えてくれるのに。

「千鶴?」
もう一度呼んでみるが返事はない。

出る時に電気を消し忘れたか?

しかし、リビングのテーブルには、ラップののった夕飯が準備してあった。

リビングにいないとなると…。


「ここか…」
寝室に入ると見慣れた少女の姿。
しかも、ベッドに横になり、スースーと規則正しい寝息をたてている。

やっと千鶴を見つけて、ホッと力が抜けた。

『最近ぐっすり寝てないんです。なんだか、眠たくても眠れなくて…』
昼間の彼女の言葉を思い出す。

…嘘みたいじゃねぇか。
目の前の少女はかなり安らかに寝ている。

「オイ…」
一応声をかけてみるが…千鶴が起きる気配はない。
このまま起こすのも可哀想な気がしてきた。

シャワーでも浴びてくるか…。
そう思って、自分の部屋を後にしようとした時。

「……んっ…」
千鶴の声に思わず振り返った。

「……」
ベッドの端に腰掛け、千鶴の顔を覗いてみる。
だが、目は閉じたまま。

(寝言か…)
寝言になぜかドキッとしてしまった。

「…ただいま」
言って頬に手を寄せる。

すると、

「おか…えり、なさい」
ふわりと微笑んで、声が返ってきた。

その声に思いきり目を見開く。

(起きてんのか?)

そう思ったが…
呼吸は規則正しいし、目は閉じたまま。

これも寝言…らしい。

(気持ちよさそうに寝やがって…)

本当に幸せそうに寝ている。
眺めていると頬が緩む。

気持ちも緩んで…。



しばらくして起きた千鶴が、今度は目の前で寝息をたてる土方にドキッとするのだった。





*****
お互いがいれば、安らかな眠り。

合鍵でご飯つくりにきてた彼女千鶴ちゃん。

突発的に書いたので、中途半端になってしまった…。
すみません。
土千可愛いよ。





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