終わり | ナノ
どんなに手を伸ばしても…
大好きな彼は、砂になって桜の花びらと共に散っていく。
待って、置いていかないで。
辛くて悲しくて…胸は痛いのに、
こんなにあたたかいのは何故だろう。
【終わり】
「千鶴…」
「…歳、三、さん」
涙が頬を伝うのと同時に、目が覚めた。
あぁ、そうか。
(歳三さんが抱きしめててくれたから…あたたかかったんですね)
「夢でも見たか?」
「…はい」
「そうか…」
それ以上は何も聞かない。
ただ優しく抱きしめてくれる。
髪を梳いてくれる。
この腕が好きだ。
大好きすぎて…失うのが恐い。
「起こしてしまいましたか?」
寝言でも言っていたのだろうか。
「いや…」
丁度眠れなかったんだ、と静かに返す。
「歳三さん、」
「ん?」
「…大好きです」
「知ってる」
悪戯っぽく目を細めて笑う。
「…もっとです」
「そりゃ有り難ぇ」
「どうしてそんな余裕なんですか」
ちょっと悔しくなった。
「大好きよりももっといい言葉があるだろう」
「?」
「千鶴」
はい、と返そうとしたのに、続いた言葉に心が支配された。
「愛してる」
そんなに真っ直ぐ見つめないで下さい。
胸が…苦しいです。
(私も歳三さんを愛してます。)
紡ごうとした言葉は音にならず、彼の口内へと消えた。
そのまま胸の内で互いの想いが溶け合う。
いつかくる未来。
何だって誰だって、いつかは終わりが…くる。
早いか遅いか、ただそれだけ。
命は様々。
細く長く、太く短く。
彼はたくさんの人に、物に、事に、この時代に。
必要とされていた。
だから、私なんかが一緒に居れることが奇跡なのに。
もっと…後少し、後少しと欲張ってしまう。
歳三さん…。
もっと…ずっと。
ずっと、ずっと一緒に居たいです。
私は…
終わりが恐くて仕方ないです。
*****
なんじゃこりゃ。
色々ごめんなさい。
土方さんが好きすぎる。
戻る