双頭の猟犬
ずっと背後を守り続けます。


「僕達の飼い主に…!」
「そんなものを向けるな…!」

きぃん、と高い音を立てて、クロコダイルの首に突き付けられていた刀が弾かれた。
白髭がちらりと視線を向けると、クロコダイルと白髭の家族との間に、二匹の小さな子供が立っている。
鋭い牙をむき出しにして、ぐるるる、と威嚇している様に見えた。

「…お前ら」
「オーナー、僕達に命令を」
「僕達はどうすれば良いですか?」

今にも襲い掛からんと目を光らせる二匹に、クロコダイルを取り囲む男達は少しばかり後退る。

「な、何だこいつら…!?」
「どっから来やがったんだ!?」

クロコダイルは右手で鉤爪を撫でると、口元だけで笑って一瞬だけ白髭に視線を向けた。
それに気付いた二匹も、自分達の何倍もある巨躯の老人を見上げる。

「…そこのジジイの首を取る。邪魔する野郎を狩れ」
「「はぁい!」」

クロコダイルの言葉に元気な返事を返し、二匹は自分の唇をぺろりと舐めた。
ぞく、と背中に冷たいものが走る感覚に、男達が顔をしかめる。
小さな子供から発せられるにはあまりに鋭過ぎる殺気。
何者だ、と警戒が高まる。

「行け…『ハウンドオルトロス』」
「「イエス、サー!!」」

走りだした二匹の喉が、獲物を求めて低く唸った。



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