双頭の猟犬
ちびっこは飛び跳ねる。


「待って、オーナー!!」
「オーナー、待って!!」
「!お前ら…」
「なっ!人喰い狼、ハウンドオルトロス!?お前らもここに捕まっていたのカネ!?」

追い付いた。
やっと見付けた。
二匹はジンベイが背負う木の扉に飛び乗ると、笑顔で飼い主の足元に駆け寄り、足に抱き付く。その表情には満面の笑みが浮かび、全身で喜びを表していた。
クロコダイルは葉巻を咥えたままちらりと二匹を見やると、口元だけで笑って視線を正面に戻す。
そうして煙を吐き出しながら、二匹にしか聞こえない位に低い声で呟いた。

「…良いだろう。テメェらも来い」
「「はぁい!」」

久々の命令。
ついつい張り切ってしまう二匹は無能の3など目に入らない。喚く蝋燭人間は完全に無視である。
二匹は飼い主から離れると、同僚であった頃から飼い主の次に懐いていた相手である、胸に『壱』の文字を持つ寡黙な男に駆け寄って、飼い主にもした様に足に抱き付いた。

「「Mr.1!」」
「…お前達もいたのか」
「オーナーの匂いを追いかけて来たんだ」
「雪の所から来て、やっと追い付いたんだ」
「そうか」

頭をくしゃりと撫でられると、二匹は嬉しそうに頬を染める。

「…ねぇ、軍艦って事は、海兵がいるの?」
「少なくとも八百人はいる」
「ねぇ、奪うって事は、食べても良いの?」
「好きなだけ食え」
「おい、お前ら何暢気に雑談なんか…!!」

赤鼻の囚人が横で喚いている。うるさい。
食ってやろうか、と牙を向けるとわかりやすく怯えて距離を取った。
二匹は妖しく微笑んで見せる。飼い主が傍にいる今、二匹に敵はないのだ。
赤鼻の囚人には理解出来ないのだろうが。

上機嫌で絶好調な二匹が漸く軍艦の方向を向くと、五人が乗っている木の扉に向かって飛んできた砲弾が、すぐ近くで水柱を上げた。

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