双頭の猟犬
優しさは利用価値に比例する。


(過去の話)


「おじさん、誰?」
「誰?警察の人?」
「警察の人?僕達を『処分』しに来たの?」
「僕達を『処分』しに来たの?おじさん」

レインベースの外れでガキを二匹、拾った。
曰く、二匹は人工受精によって作られた狼で、最高傑作と呼ばれた狼男の血を引いているのだとか。
見た目はただのガキだが、優れた嗅覚と帰巣本能を持ち、また、人間の血液に触れる事でその人間の情報や記憶を全て識る事が出来るという特殊能力もあるのだ、と、二匹は言った。
実際に適当な用済みの男を襲わせて見れば、二匹はまるで獣の狩りの様に荒々しく男に襲い掛かり、獰猛に喉を噛みちぎり。溢れる血を啜りながら、その男のプロフィールと持っていたらしい情報をつらつらと語って、その能力を証明してみせた。
これは使える。
そう判断し、俺は二匹を連れ帰った。


「おいしいね、リッカ」
「おいしいね、ルティカ」
「ひぃっ!!」

仕事をさせてみれば、拾った当初の期待以上の成果を上げるその二匹。
獲物は逃さず、確実に情報を奪い、証拠を残さず食い尽くす有能さ。更に、俺を心底慕っているらしく、この上なく使い勝手の良い駒となった。

「…首だけは残しておけよ。誰の首かわからねェんじゃ意味がねェからな」
「「はぁいっ」」

動かなくなった男の両腕を噛みちぎる二匹の狼を視界の端に残したまま、咥えた葉巻の苦味を吸い込む。
信用はしていないが、期待をかける価値がある、と言い切れる程度には、二匹はとても重要な存在だった。




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