◇今日はもう、眠れそうにない−1/2−
ふと目が覚めた。腕の中には心地よさそうに静かな寝息を立てる君。
ちらりと時計を見ると、十四時少し前。
起きるまでにもう数時間ある。
愛しい君を抱いたまま、もう一眠りしようと瞼を閉じた。
『…ん…』
突然の、あまりに艶かしい君の声に心臓が跳ねる。
思わず目を開けた。
君はコロン、と寝が返りを打って僕から離れていった。
そのまま再び深い眠りに落ちるのだろうと思っていると、君はもぞもぞと居心地が悪そうに動き出す。
空を掴むその手は、まるで何かを求めているようで…。
すると君はまた、コロン、と寝返りを打ち……
僕の腕の中に戻ってきた。
無邪気な子供のように、僕の胸に顔を摺り寄せてくる君。
ふわり、と君の香りが鼻腔をくすぐる。
そして、めくれ上がった寝衣のワンピースから覗く、驚くほど白い太もも。
無意識の君は、男を惑わす妖艶な天使、否、無垢な小悪魔か。
こんな君は、誰にも見られないようにしないといけないね。
君が無防備な姿を見せるのは、僕だけでいい。
君が誘惑するのも、僕だけしか許さない。
『…ん……』
その悩ましげな声に、すべての神経が揺さぶられた。
思わず、君の名前を呟いた。
「…白亜……」
すると、華奢な腕が首元に絡み、君は僕に抱きついてきた。
「…ん……かなめ……」
「……っ」
……今日はもう、眠れそうにない。
◇◇◇
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