王妃の日記 | ナノ


 ◇第十罪:Decade〜前編〜−1/7−
side 優姫

ドンドンドンッ

地下の射撃場に響く銃声。
零の弾丸は綺麗に直線を描き、紙で作られた人型の的の頭と胴体を見事に切り離した。

「調子は…良すぎるくらいだね……」

すごい命中率。
でも、なんだろう、この…鬼気迫る感じは…。
すると零は私の首の包帯に目を止めて言った。

「……どうせ吸われるんなら…俺なんかじゃなく、玖蘭枢にお前は血を吸ってほしかったんだろうな……」

「…え……?」

いきなり、何……?

「お前が玖蘭枢を好きなのはわかっていたし…。お前の血も……わかる…そういう味がした…」

かぁっと顔が赤くなるのを感じた。

「……なんかそれってえっちだよっ……零のバカっ!」

私はそう言って射撃場から逃げるように飛び出した。


ちがう…
ちがう…
ちがうんだよ……。

私にとって枢センパイがどういう存在なのか
枢センパイにとって私がどういう存在なのか

―――私がいちばんよく知ってる。

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