◇第七罪:あの子が選んだ茨の道は−1/6−
side 優姫零が血液錠剤を飲めないなんて。
そして突然現れた謎のハンター。
零の昔の師匠と言っていたけれど……。
――「……優姫、いい……」――
零の言葉がこだまする。
身体は血に飢え続け、心は確実に蝕まれて
このままじゃ零は……。
それに……白亜。
吸血鬼独特の異様な空気のあの夜会で、緊張するどころかそこに溶け込むように存在していた。
レベルEのことも、吸血鬼社会のことも、あの『王妃の日記』とかいう物のことも、私には初めて聞く言葉ばかりだったのに白亜は平然としていた。
枢センパイを零から庇って、銃声を聞いても顔色一つ変えずに。
零の首に手刀を刺したあの女の人とも、まるで知り合いみたいに……。
……白亜、あなたは何を知ってるの?
あなたは一体何者なの?
私、白亜のことも、零のことも、何も知らない。
何もできない。
「…優姫?」
「…頼ちゃん。…起しちゃったね、ごめん…」
頼ちゃんは私のベッドに上がってきた。
「ねえ優姫…。私にはどうしようもできないこと…?優姫が最近苦しんでることって……」
頼ちゃんの言葉を聞いたら、涙が我慢できなかった。
私は何も知らない。
ねえ、私にもできることは、ないの……?