◇第二十一罪:銀の残影−1/7−
再び瞼を開くと朝だった。そう認識すると共に、カーテンから漏れた陽光が瞳に突き刺さる。
『……あっ……』
小さく呟いた瞬間、視界は温かな闇に覆われた。
枢のやさしい腕の中に。
「吸血鬼に戻ったばかりの目に朝日は辛いだろう?」
『…まるであの時みたいだわ。初めてこの瞳で太陽を見た……』
遥か彼方の遠い時。
あの日から太陽は私達に残酷で。
否、私達の方が太陽を拒絶しているのかもしれない。
あの目映い光は罪に塗れたこの身には辛すぎて。
ドクン、
突如、身体中が鼓動した。
久しぶりの"飢え"の感覚。
枢の香りに包まれて、本能が彼を欲していた。
『かなめ……』
そう名前を呼んだだけで枢は私が何をしたいのかを察して、着ていたシャツの襟元を緩めた。
綺麗な首筋がさらけ出される。
「いいよ、白亜…」
囁くような声、咽返る甘い香り。
血脈を探るように舌を這わせ、柔らかなそのうなじに牙を穿つ。
「…っ」
口いっぱいに溢れるのは、赤い色をした貴方の想い。
愛してる
愛してる
愛してる
愛してる
愛してる
愛してる
愛してる
愛してる
愛してる
愛してるよ、白亜
零れるほどの貴方の愛に、心はゆっくりと満たされていった。