王妃の日記 | ナノ


 ◇第十四罪:クイーンは不敵に微笑む−1/8−
―――カツン

盤上に駒を置く音が部屋に響く。

―――カツン

ルークを移動し

―――カツン

ナイトを進めた。

―――・・・

枢の手が止まった。
その手にはクイーンが握られている。



「枢」

拓麻に呼ばれて枢は振り向いた。

「彼女……紅まり亜さんが今の寮では緊張して眠れないそうで―――」

その言葉の先はまり亜が自ら続ける。

「夜間部の平和のためにも、しばらく私、寮生活を遠慮したいんです。夜間部設立の時に使われていた『仮の寮』があると聞きました。私…そこがいいわ」

「……いいよ。理事長に話を通しておく」

「え、いいの?」

あっさりと承諾した枢に驚く拓麻。

「うれしいっ。ありがとうございます」

まり亜はそう言って、ひらりと去って行った。
その後ろを仮面の従者が静かに付き従う。

その様子を英が物影からじっと見ていた。

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