ポケットに入った小さな箱。



俺は君にそれを渡せれるだろうか。





君と俺と結婚と





「式場どこにする」と、隣に座ったカップルが仲むつまじげに話す。



俺はそれを横目で見ながら純粋に羨ましいと思った。

もし、俺たちが普通の男女のカップルだったら、将来、あんな風に話あっているのだろうか。





式場は何処だとか、引き出物はなんだか、そんな風に。



「…明王はウェディングドレス派かな」





思わずそう呟くと、目の前にいる不動は豪快に珈琲を噴き出した。



「はぁ?!なに言っちゃってんだよ!風丸くん」





「いや、ただ…なんとく、似合うかなって思って」





「似合う訳ねぇじゃん、俺男だぜ?」





そう言った不動の顔はこれ以上ないくらい真っ赤で、俺も思わず俯く。



そして、暫くの沈黙の後

不動は歌うように呟いた。





「…でも、まあ」





"風丸くんとなら結婚してやっていいよ"





その言葉がやけにスローテンポに聞こえた。



唖然として固まる俺に対して、不動は楽しそうに笑っう。



「悪くねーじゃん、風丸明王。…いってらゃしゃいのキスしてやろうか?」





悪戯をし終えた子供ねように笑う不動の腕を掴んで、ファミレスから出る。



「え、ちょ風丸くん?!」



不動の焦った声が聞こえたけど、そんなことどうでも良かった。



そして、そのまま不動を路地裏まで引っ張り、噛みつくようなキスをした。





「ん、ふぅ…どうしたんだよ?風丸くん?」





「…男に二言はないよな、不動」



不動は、不思議そうに首を傾げ小さく頷く。





「…本当は渡すつもりなんかなかったんだ。…けど不動があんなこと言うから」



ポケットから出てきたのは二つのエンゲージリング。

それを見た不動は俺と指輪を交互に見つめた。



「…風丸くん、これ」





「―――あのさ、不動、これからもずっと一緒に居てくれないか」





「…プロポーズみてぇ」



「…プロポーズだよ」



俺がそう返すと、不動は金魚見たく口をパクパクあけてから、震える声で「おお…」と返事をした。









「病める時も健やかなる時も…俺は、不動を愛することを誓うよ」





「…俺も、誓う」







不動は小さく笑って、俺達は再び口付けをした。







何処か近くの教会の鐘の音が聞こえたような気がした。







HN ツルコ





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