私が消えるその前に




「初めまして、アッシュ…様」

意味がわからない。誰だこの赤い髪の男は?

「今日からこちらのお屋敷で暫くお世話になる者です」

何故王家に連なる赤い髪と緑の瞳を持っている?

「突然のことで混乱なさるでしょうが、何卒ご了承くださいませ」

透けるような翡翠と朱色…どこか自分達と比べると、された色をしている。

「お前、名は?」

そう言うと困ったように眉を下げた笑顔で静かに答えてくる。

「お答えできません。アッシュ、様」

俺と変わらない背丈なのに、妙に小さく見えた。

「なら、何故王家に連なる者の証を持っている?」

また、眉を下げた。

「お答えできません」

翡翠の瞳が隠れてしまった。

「お前は何だ?」

朱色が揺れた。

「……お答え、できません」

泣きそうに顔を歪めた。

「もう一度聞く。名は?」

今にも泣いてしまいそうな儚い笑顔でこう答えた。

「お前が…アッシュが知る必要はないんだ…」

美しい翡翠から透明な滴がぽつり。




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ED後、ルークに関する記憶を無くしたアッシュでも、二週目ルークでも、お好きにお考えください。





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