カリカリ



※TOX2ネタ、ルドガー視点。ネコのルーク
 TOX2を知らないと分かりづらいかもしれません。




借金返済のために請け負ったクエストの一つ…ココネ・ネココさんのネコがまた一匹目撃されたらしい。クエスト以前に頼まれごとの一つ(近所の好でと勝手に押し付けられたような気がしないでもないが)でもあるため、見過ごすこともできない。それに、猫派の人間としては沢山の種類のネコに出会えることも嬉しいので、時間が許す際は依頼は引き受けるようにしている。
取り敢えずノヴァから先ほど来た取り立て請求額を見て項垂れたので、颯爽と鳴き声を頼りに探し回っているのだが、これがなかなか見つからない。高いところが好きだったり岩の隙間にいたり店のカウンターを陣取っていたり、なぜが街道の穴の中にいたり奇怪な行動をとるネコも多い。いや、上二つは普通か?最近普通というものが何かわからなくなってきているような…いや、待て。まだそこまでキてしまってはいないはずだ。しっかりしろルドガー・ウィル・クルスニク!

「ねー、ルドガー!……お、お腹すいた」
「そうだな。一旦休憩してご飯にするか」

やったー!と喜び駆けて行くエルを慌てて追いかけて取り敢えず自宅で食事休憩を取ることにした。
向かいの席について「おいしい!」とはしゃぐエルを微笑ましく見つめながら、今請け負っているクエストの依頼書の内容を再確認しようと、ぺらぺらとページをめくる。

「なっ…なんだと!?」
「え、なにー!?」
「あ、ごめん。なんでもないよ」
「もー、きゅうにおおきな声ださないでよ!」

小さくこっそり挟まれていたギガントモンスターの情報紙の討伐報酬が中々の値段でついつい大きな声が出てしまった。ちょっとそこにいるジュードでも連れて…あ、アルヴィンのブレイカーも欲しいから付いてきてもらおう。

「ルドガー。食べ終わったらまたドヴォールいくの?」
「ん?もしかして嫌か?」
「いやってわけじゃないし…ルドガーすぐに決めつけすぎ」
「何事も迅速で正しい選択をしなきゃな」
「エルはまだこどもだし!」
「はいはい。ほら、お皿」




「で、まだネコ見つからないの?ルドガー」
「そんな哀れなものを見る目で俺を見るな」
「僕そんな目で見てたかな…」
「無意識とか、一番悲しくなるんd「ネコいたーーー!」何!?」

上の方から聞こえたエルの声を頼りに階段を駆け上がると、探しに探したネコの姿が見えた。エルに抱きかかえられたネコは、赤い毛並が特徴の変わった模様のネコだった。抱かれるのが嫌いなのかやたらと暴れているせいで、このまま放っておくとエルに怪我をさせそうだ。ひょいっとエルの両腕からネコを捕まえて、エルに名札が見えるように抱えてやる。

「エル。この子の名前は?」
「えっと…るー、く。るーく!」
「こいつがルークか。よく見つけたな。偉いよ、エル」
「とっ、とうぜんだし!」
「よし、ネココさんのところに行こうか」
「うん!」

駅からトリグラフへ向かう途中も何度か暴れたこの「ルーク」という赤毛のネコは、ひょっとしたら気性が荒いのかもしれない。なんとなく鳴き声も不細工…ゴホン!だるそうな鳴き方だし、でも目立った傷跡なんかはないようなので喧嘩っ早いわけでもなさそうだ。

にゃーにゃーとネコの鳴き声が絶えなく聞こえてくる部屋のドアをノックすると、ほどなくしてお馴染みの猫なで声と共にネココさんが現れた。

「あら〜、ルークじゃなぁ〜い!どうもありがとうございます〜♪そそろトリミングしたかったのよねん」
「このネコさんへんな色だよね。あたまと足は赤色で、からだが白と黒!手、なんか茶色だし!」
「でもかわいいでしょ〜?」
「滅茶苦茶暴れてますけど…」
「ちょっとおバカなにゃんこなのよぉ〜。そこがまた、可愛いんだけども」

ネココさんに抱きかかえられたルークは相変わらず暴れ続けている。それでも撫で続けるネココさんって本当にネコ大好きなんだな…
部屋に招き入れられて他のネコを見ながらルルと戯れていると、さっぱりとしたルークが先ほどとは打って変わって大人しく抱きかかえられた状態で現れた。先ほどの暴れっぷりはどこへいってしまったんだろうか…不思議だ。毛を切られたら性格も変わるんだろうか。

「この子のそばにもう一匹赤い毛のにゃんこがいませんでしたかぁ〜?」
「えー、いなかったよ?」
「そうですかぁ…」

よしよしと顎の下を撫でられて、気持ちよさそうに目を細めるルークは、あの暴れっぷりが嘘のようにしおらしく、どこか悲哀に満ちた目をしていた。遊びまわる他のネコ達を見るでもなく、どこか遠くを見つめる瞳は綺麗な翡翠色だ。
「この子の唯一の兄弟…双子ちゃんなんですけどぉ…昔ルークと一緒に遊んでる時に攫われちゃって」
「え、ネコが?」
「そうなんです〜。無事に逃げだしたみたいなんですけどなかなか戻ってきてくれなくて」
「へ、へぇ…」
「ルークはアッシュにべったりなものでしたからぁ〜。ショックで性格も変わっちゃって〜、やけに警戒心の強い子になっちゃったんですよね〜。アッシュもルークが大好きなのに〜」
「見かけたら、捕まえましょうか?」
「お願いしたいんですけど…ルークと違ってとっても頭のいいにゃんこだからちょっと難しいとおもいますよ〜」
「はは、それは…」
「あと、ルークがいないと出てこないと思うんです。ルーク以外にはなついてくれないにゃんこなので〜」
「そ、そうなんですか」

この人のネコナデ声にどう返していいのか分からず、苦笑交じりの返答しかできない。そろそろ退室させてもらおうと腰を上げたところで、さっきから宙を見つめていたルークがネココさんの腕から離れて俺の脚もとにちょこんと座った。何だなんだ、そんなに見つめるなよ、と思った時に「にゃあ」と一鳴き。これはもしかしなくてもルークからもそのアッシュのことを任されたんだろうか。お前がいないと出てこないって言われたばっかりなんだけど…

「アッシュは緑の目、頭部の真紅の毛と胴体の黒と灰色の毛が特徴なのぉ〜。お願いね〜♪」

俺、もうネコ探し疲れた。







「お前アッシュだな!!!!見つけたぞ!!」
「フシャァァァ!!!!」



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ます一つ。TOX2のにゃんこにアッシュはいません。ドラゴンアッシュならありますが。もう一つ。ルークを探すのにこんなに時間はかかりません。わかりやすい場所にいます。
いつかTOX2の猫ルークネタでなんかかきたいなーと思っていた妄想を吐き出しました。アッシュが返ってこないのは、今度はルークが狙われるといけないから、とか、一緒にいると恋しくなっておかしくなりそうだから、とか、お好きにお考えください。きっと犯人は髭です。



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