吸い込まれるように魅入る本編中 それは小さな石だった。美しい碧色をしたそれを見つけたのは、アラミス湧水洞の川底だった。川底なんて表現していいのかわからないが、取り敢えず水の底にあったのだ。またまた手の届く範囲にあったそれを拾い上げて一番はじめに思い浮かんだのは、被験者であるアッシュの瞳。指先程の大きさの小さな石は、キラキラと透けるような美しい碧色。彼奴の瞳と同じ色… 「また見ているの?」 「そんなに気に入ったのなら、穴を空けて紐を通したらどうですか?」 穴を空けるなんて冗談じゃない!ぶんぶんと首を横に振って全力で否定して見せる。可笑しそうに笑う鬼畜軍人眼鏡は、両手の平を肩まであげ「愛されてますねー」なんていいながら踵を返す。ティアは呆れたように一つ溜め息を落としてジェイドの後へ続いた。 もう一度掌に乗せたままのそれに視線を落とすと、後ろからすっと伸びてきた指に捕らわれてしまった。なにすんだよ、と振り返り様声を出す前に、 「いつまでそんなもん見てるんだ」 と少し不機嫌そうな彼奴の声がしたものだから、さっきの文句なんて忘れて嬉しさ一杯に名を呼んだ。 「アッシュ!!」 「これはお前がどう思おうが、ただの石だ」 「うん?」 「本物はここにいるんだから、今は俺を見てろ。屑が」 言ってることが明らかに嫉妬めいていたものだから、思わず飛び付いてしまったらまた「この屑!!」なんて言われたけど、アッシュだから構わないんだ。 ------------------ ずっと後ろにいたのに気づいてもらえなくてちょっぴり嫉妬しちゃったアッシュさん。 日記からサルページ。短いけどあえてこちらに持ってきました。 |