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「今日はさ、魔法の使えない人達に平凡を聞いてみようと思う」

「俺とかか?」

「そうそ。魔法が使えないと人間は何を平凡と思うんだろう?って考えたら止まらなくて」



皆がほとんど魔法使いなこの世界で数少ない本当に普通の人。その人達の平凡って何なんだろう。



「で、御堂君は?」

「俺は、学校行って飯食って弟とケンカして…が平凡。何も変わらないのが平凡だと俺は思う」

「へぇ、不良少年A良い事言うな」



雪見さんがククッと笑う。



「猫、お前でかくなったな…。俺の中のお前はまだこんなに小さいぞ」

「小さすぎでしょ黒木さん……ククッ、まあ良いか。なぁ、黒木さん、オレはアンタの事、大好きで尊敬してるけど憎んでますよ」



雪見さんの目がぎらついて黒木さんを睨み付けていた。黒木さんは怯んではいなかったけど、とても冷たい目をしていた。
私は今まで黒木さんのあんな目を見た事が無かったから、恐かった。私の知らない黒木さんが、恐かった。
黒木さんが、口を開いた。



「…雪彦さんの事、だろ?まあ怒りをぶつける場所は、俺しかないだろうな」



黒木さんの目に熱が戻って、黒木さんは空を仰いだ。



「あんまさ、冷を怖がらせる事しないでくれないか?俺を責めるのは全然良いから、な」



黒木さんがまた優しい瞳で笑う。



「オレは…、アンタのそういう所が…!憎んでも憎みきれないじゃねぇかよ……猫さん……!」



猫。雪見さんの、名前。



「猫、お前が俺として育てられた事は知ってる。俺の好みを好みじゃないと言うと雪彦さんが激怒した事も知ってる。雪彦さんは、俺を息子にしたかったんだ」



黒木さんの青い目が雪見さんを優しく見ていた。



「……何?解決した?」



眠いっつーの、と言いながら御堂弟が起き上がる。
…浮きながら寝てたのかコイツ。



「竜、付いて行きたいと言ったのはお前だろ?…水沢、悪いな」

「いや、良いけど。ってか黒木さんって下の名前猫だったんだ」

「まあな。とりあえず探しに行くか?平凡」

「うん。きっと、すぐ見つかる…と思う。なんだか分かってきたから」

「とにかく行きますか、黒木さん」

「オレフライに乗ってくからなー」

「…竜……!」





11.05.17


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