小説 | ナノ


黒木さんの研究室に行かなくなって1週間。私はスパイスの無い毎日を送っていた。でもやっぱり魔法が使えるこの世界は非凡だ。
そしてまた学校帰り。



「アンタか?平凡探ししてるっていう高校生って」

「そうですけど。貴方は?」

「オレは雪見。雪見 猫(ビョウ)。大学生ね、コレでも」



目の前にいる雪見猫と名乗った男は水色の短髪に金目。それに手元には煙草。



「ユキネコ?」

「んだそりゃ。あー、学校帰りか?」

「そうですけど。雪見さん、私に何か用ですか?」



んー、と考える素振りをしながらも雪見さんはニヤニヤと笑っている。



「平凡探し、手伝おうかな、と思ってな」

「私の平凡探しを?」

「そーそ、何か楽しそうだからなー」



面白くなりそうだな、なんて雪見さんが呟く。



「あー水沢冷、だったよな、名前。オレはタメで十分だから」

「ならそうする。雪見さん、今度はいつ会える?」

「冷の都合の良い時で良いぜ。黒木さんに宜しくー」

「…黒木さんに?」


今日は新たな出会いがあった。スパイスは少しはあったね。



「あ、冷」

「黒木さん…」



暫く会ってなかったから緊張した。でも買い物袋下げて白衣着てない黒木さんは私にはとても新鮮だった。



「今日も平凡探しか?」

「そうだけど?」

「…飯一緒に食うか?今日はお前と俺の大好物、オムライスだ」

「うん、食べる。あ、雪見さんが黒木さんに宜しくって」

「雪見?」



黒木さんは斜め上を見て苦笑いをする。一体黒木さんと雪見さんはどんな関係なのだろう?私の首を突っ込む所じゃない事は十分承知していたけど私はやっぱり首を突っ込まずには居られなかった。



「どーいう関係?黒木さんと雪見さんって」

「…まあ、親戚なんだ。まさか雪彦さんがなぁ…」

「猫、って名乗ってましたけど」

「猫!?息子の方か!」



黒木さんは1人で納得していた。要するに黒木さんの言ってた雪彦さんって人が雪見さんのお父さんなんだろう。そして黒木さんと雪彦さんは知り合いで同じく雪見さんも黒木さんと知り合い…って事だよね、きっと。



「今年で22だよな、アイツも。どうだった、猫は?」

「掴めない感じだった」

「俺も16の時に会って以来だ。そうか、猫がな…」



勝手に物思いに耽ろうにする黒木さんを早くオムライス食べたい、と急かし、私達は歩き出した。





11.05.09


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