小説 | ナノ


水沢 冷・17歳。至って平凡な高2。
だけど、
学校帰り、私は排ガスの無い道路を見る。ヒュンヒュンと右へ左へと色々なフライで人が移動している。
平凡と言えば平凡だけど、歴史を勉強していく内にやっぱりこの状況は非凡なんだ、という事に気づかされた。



「“化学は発展せず急激に魔法が発展した”、か…」



学校帰りに毎日行く場所に私は向かう事にした。



「黒木さーん、居るんでしょー?」

「ハイハイ居ますよー。どうしたよ、冷」

「魔法の研究、どうなった?」



黒木さん、この人は魔法の研究をしている研究者。下の名前は私も知らない。
外見はボサボサの長い黒髪を低く結っていて、無精髭。青い目をたまに眼鏡で隠すいわゆるオッサンだ。



「どうもしないよ。冷、お前今日も探すのか?平凡」

「探すよ。見つからないから」



平凡を探すと決めたあの日からずっと私は平凡を探し続けていた。見つからなかったけど。



「俺はもう、この生活に慣れたからなぁ…。冷はコレを非凡だと?」

「黒木さん小学生からやり直したら?歴史の授業受けたらその考えも変わるよ、きっと」

「んじゃ冷が教えてくれよ、この世界の歴史」

「……仕方ないなぁ」




私は鞄から歴史の教科書を取り出して説明した。



「これが車。昔の人達はこうやって私達みたいにフライじゃなくて車で移動してたんだって」

「フライで移動しない人間なんて、考えつかないな」

「それが非凡なんだよ。で、電気ね。今は魔力蓄積装置に魔力を溜め込んで明かりを点してるでしょ?昔はこの電気を使ってたんだよ」

「はー…念写がねぇのか。今は思い出を残すのは念写、と決まってるからな」



私にとって当たり前じゃない事を当たり前だと言ってのける黒木さん。この頃はカメラ、という機械で人間を写していたらしい。黒木さんは物珍しそうに私の教科書を見る。教科書と言っても、実はまだ魔法が使われ始めた頃のだけど。



「冷、冷は非凡非凡言うけどな、魔法とか抜きにしてな、学校帰りにいつもココに冷が寄る。ソレが俺の平凡だよ」

「私は魔法があるこの世界自体が非凡だと思う」




私は踵を返し、黒木さんの研究室を出た。





11.05.08


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