「煬さん…、それホント?」 「ええ勿論。煬さんの情報は確かですよ〜」 おどける煬さんはいまいち信用できないんだけど、でも黒木さん。黒木さんが雪見さんのお母さん、と言う前に間違えて私の名前を出した。ああそっか、黒木さんは知ってたんだ…。 「ねぇ、雪見さんどこ?」 「猫のとこですよ」 「いつもの研究所ってこと?ありがと煬さん」 「…ってか学校に来るなよアンタ」 「あらー、煬さんの経済力をもってすれば簡単なんですよ?」 「一体何やってるんだ煬さんって」 いつものドアを開ければ話し込む黒木さんと雪見さん。 「雪見さん…」 「おお冷。煬さんから聞いたか?」 「聞いたよ。聞いたから来た」 「だろうな。ま、オレは言われる前から知ってたからわざわざ冷に会いに来たんだけどな」 ニッと笑う雪見さんが実兄。あまり違和感はなかった。驚いたけど。でも感動の再会、とはいかない。 「黒木さんも知ってたんでしょ?」 「……ああ。伝えるべきかどうしようか迷っていたら兄の奴…」 「まあまあ、どうせオレは知ってましたし?」 私の本当のお母さんと雪見さんのお母さんは一緒の人…。 「ねぇ黒木さん、雪見さんのお母さんって私に似てる?」 「…正直そっくりだ。猫は雪彦さん似だが」 「いーよなー冷、オレも母さんに似たかったー」 冷ずるいー、と言ってつついてくる雪見さん。そんな雪見さんに私は聞いてみることに。 「ねぇ雪見さん、雪見さんさっき私に会いに来たって言ってたけど…?」 「だから、そのまんまの意味だって。んーとな、冷のこと調べて、黒木さんとこいるっていうから、来た」 「…再会した時の白々しさは…?」 「そんなに白々しかったか?」 「知ってたならね」 猫らしいな、と笑う黒木さんはどこか私たちが兄妹だと知ったことを喜んでいる気がした。 11.12.04 戻る |