イベント部屋 | ナノ



「短冊か?」
「はい。マサムネさんも書きますか?」
「書かせろ」


意外だな、と思いつつ短冊を渡す。この人ならば願いは自身で叶えるからと短冊を破り捨てるかと思っていた。口元に笑みを浮かべて、ご機嫌な様子で書き始める辺り、この人もまだまだ子供心を忘れていない様で、いいな、なんて思った。あの暗闇烏の18代目だって親しみやすい、ひとりの青年なのだと。


「俺様の凄さを全員に思い知らせられますように、っとな!」
「マサムネさん…。何だか、マサムネさんらしいですね」
「そうか?」
「叶うといいですね」
「ならまずお前が俺様はスゲーって知れ。そしたら叶う第一歩だ」


思い知れ、俺様の凄さ!とマサムネさんが私を指差す。もう十分思い知ってるのにな、と私はクスリと笑った。
そんな私をよそに、マサムネさんはまだ何か書いている。何かきっとまだ願いというか野望というかがあるんだ、と納得した私は、そんなマサムネさんの横でまだ書いていなかった自分の願いを書き出す。


「なまえ、お前は何書くんだ?」
「え?私は素敵な人に出会えますようにーって。こんな私でも受け入れてくれる様な優しい人がいいなって」
「…任せろ」


少しの期待を込めて、彼氏がほしいと彼に告げてみた。私の本心はマサムネさんと共にいたい、ただそれだけ。
そんな私の気持ちを知ってか知らずかマサムネさんは何故か任せろと言ってニヤリと笑った。


「お前は俺様と付き合うんだから嫁の貰い手は大丈夫だぜ!」
「…え、私たちいつから…?」
「今から付き合えばいいじゃねぇか。この独眼竜マサムネじゃ不安か?」
「い、いえ…!まさか、私の願いが笹に飾るより早く叶っちゃうなんて思いもよらなくて…」


幸せにしてやるよ、そう言ってマサムネさんは口元を兜と同じ三日月の様にして、笑っていた。
マサムネさんが笹に吊り下げた短冊には、“なまえを幸せにしてやれますように”なんて書いてあって。まさか短冊でプロポーズされるとは思ってもみなかった私なのでした。





―――

話がぶっ飛んでしまった




12.07.11



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