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「ユーリ、バレンタインチョコですよ」
「毎年ありがとう。感謝しているぞ、なまえ」


天然キザなユーリが私のあげた箱に口づけをする。自分で渡した箱なんかに嫉妬してるなんて私はなんて愚かなんだろう。


「バレンタインの本命チョコ、確かにこれもいい」
「ユーリ?」
「だが…、私の一番欲しいモノはなまえもわかっているのだろう?」


艶のある笑みで舌なめずりをされ、その綺麗な赤い瞳でじっくりと見つめられては頬を染めてユーリを見るしかない。ユーリの銀髪が月明かりに照らされ眩しい。風になびく姿も美しいのに反則の様な気さえする。
ユーリにされるがまま首元を晒して、うなずく。ユーリは楽しそうに笑って私の首元を一舐めし、噛みついた。


「ユーリ…おいし?」
「ああ、どんな美酒よりも美味だ」


血を吸われる感覚には何となく慣れなくていつもユーリに話しかけてしまう。
けど今回は話しかける言葉を間違えた。こんな恥ずかしい言葉が返ってくるとは…。


「ユ、ユーリ、これじゃバレンタインじゃないよね…」
「そうか?ならお前の首筋にチョコレートを塗り付けて血液と一緒に舐めてやろうか」
「や、やめっ…!そんなのチョコの使い方と違うよ…!」


血の滴る首元をまた一舐めして傷口を塞ぐ。


「いい本命だ」
「ユーリのっ、馬鹿…!」


ユーリの牙が離れたというのに未だゾクゾクとした感覚を残し、疼く体。
熱の残る顔を上げてユーリを見ればユーリは艶っぽく笑っていた。
きっともうユーリにはバレンタインなんて単語頭の片隅にも残っていないのだろう。でなきゃチョコを持って私を寝室に押し込めて無理矢理ベッドに寝かしたりしない。いや、バレンタインこそ、かな…?
どちらにしても聖バレンタインを汚さないでください。





―――

久しぶりにユーリを書いたら照れるばっかりです




12.02.20



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