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こんな日に限ってサッカー部がないなんてツイてるのかツイてないのかわからない。
でも、こっそりチョコだけ置いて帰るという選択肢を絶たれた私にとってはツイてないかもしれない。
いや、島君と一緒に帰れるから全くツイてない、という訳じゃないんだけれど。


「島君、たくさん貰ったね」
「貰っちった」
「食べるの?」
「食べるよ」


食べないで、なんて言えない。
私のあげた紙袋いっぱいに甘い物が詰まってた。チョコだけじゃなくて普通にクッキーだとかマフィンだとか、はたまたカロリー○イトだったり。


「島君マフラーお似合い」
「何の話?」


こっちを見てケラケラ笑ってる島君にチョコあげられなくて困ってるとか、ある。
今、隣を歩いてる島君と私は所詮幼なじみで、最初はもっとオシャレな所に生まれたかったと散々わめいたものだ。今はもう島君の隣にいれるから千葉でも全然イイネ!って事になったんだけど。
帰り道が一緒だから一緒に帰ってくれるし、送ってくれる。幼なじみじゃなきゃ仲良くなかったし、きっと知り合い以下。
中学の時からモテたけど、高校に入ってからイケメンになりすぎ。中学の時の3倍って一体どれだけの人が島君に好意を寄せてるんだろう。島君は女の子とも仲が良いから友チョコとかも入ってるんだろうけどさ。
いつからだっけ?島君を亮介って呼べなくなったのは。いつからだっけ?島君が時々寂しそうに笑うようになったのは…?
自分だけは絶対、何らかのカタチで、島君の特別だなんて何で思えてたんだっけ?だって、島君が優しいんだもん…。


「あー、なまえ?」
「なあに?」
「何、泣きそうなワケ?」


アレ、泣きそうだった?と笑えば、幼なじみが言ってんだから本当だよ、と返された。
テストの結果悪かった、とへらへらと笑顔を貼り付ければそれ以上島君は何も追求して来なかった。


「なまえ、」
「今度は何?」
「今年はチョコ、ないの?」


え。
これは、期待していいんですかカミサマ。私は自惚れ屋です。ずっと島君の隣にいれるとか思ってた愚か者です。


「あるよ、ほら」


サンキュ、と子供みたいな笑顔で受け取って早速食べてる島君にクスクスと笑えば笑うなよ、とまた島君が笑う。
どうしてかな、心が暖かいや。ふわふわする。嬉しいからだね。


「よっしゃ、なまえからの本命だ」
「ええ?」


いつものノリだと思ってた。
音符が付きそうな島君の声色に苦笑いで島君の方を向け、ば。
島君が本気で、シュートが決まったりだとかディフェンスがうまくいった時みたいに嬉しそうだったものだから、自惚れ屋の期待は止まらない、止まりそうにない。


「な、何で…?」
「だってなまえってどうでもいい男子にはチロル配るだけじゃんよ」


こんな立派なのは俺の中では本命です、とかなり、これ以上ないくらいに嬉しそうなものだから。


「そうだよ。島君のは、本命」


言った途端に頬を染めて目を見開いて口元が緩む島君。こんな可愛らしい島君見たの久しぶりだよ。可愛いなぁ、もう!


「俺も、好きだ」
「…ホント?」
「嘘言ってからかう余裕とか生憎持ち合わせてない…!」


片手で顔を覆う島君と恥ずかしくなってきてコートに顔を埋める私。ようやく大好きな島君とくっつけたっていうのに、ヘタレだ私…!


「し、島君?」
「……亮介」
「え?」
「亮介って呼べよ、なまえ」


昔、そう呼んでくれてたじゃん…、と落ち込む島君、じゃなくて亮介に抱きついて名前を呼べば、


「亮介、」
「なまえ。なまえも…、好きって言ってくれよ」


注文多くてゴメン、と照れる亮介。
だから今度ね、なんて言わず笑顔でずっと言えなかった“好き”を言うんだ。亮介が望んでくれてるし、私の言わなきゃいけない事だから。


「好きだよっ、亮介!」





―――

少女マンガを文にする気で書いたらただのグダグダ話になりました←




12.02.20



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