ふわりふわり、
甘い匂いがそこらに漂うこのウルガルドで俺は何故かなまえにチョコを貰えるのかと思いきや鉄でできた枕をプレゼントされていた。何だ、嫌がらせか。
「…なまえ?」
「サマンサさんがグレンたんと仲良くなりたいならプレゼントしなさいって」
アレ、外した?と首を傾げるなまえに俺が吐き出したはため息。
こんな物で寝れるかと頭に軽く手刀を入れてやれば涙目で俺に酷いと言って頭を押さえるなまえ。
「サマンサさんに出されたの3択だったからコレかな〜?って思って持って来たんだけど……違ったかあ…」
「なまえは鉄の枕で寝れるのか?」
「いやグレンたんなら可能かなって…?」
「可能な訳あるか!」
嫌がらせとしか思えないその枕を学園のゴミ捨て場に置いてくれば今度はうつむいてもじもじするなまえを発見した。だいたいこの反応でなまえが俺に何を渡したいかわかる。今日が何の日か考えれば答えは簡単に出る。このウルガルドのテストより何倍も簡単だ。
「グ、グレン、たん…?」
「何だ?」
できるだけ優しい声色でなまえに笑いかける。甘い匂いは嗅ぎ慣れた、いや、嫌と言う程嗅いだがなまえから、意中の女子から貰えるのであればこれ以上嬉しい事があるだろうか?俺はあの鉄の枕の事が吹っ飛んでしまう程、今、猛烈に感動している。それこそ今任務に呼び出されてもスキップしながらキリカ学長の元へ行くだろう。
「あ、あげる!」
俺に素早く渡して走り去って行ったなまえに渡された物を見れば。
「……オイ?」
チョコじゃない、これはカレーのルー(市販の固形ルー)だ。何だこれは。何だこれは何だこれは何だこれは!仮にもメイガスのリーダーマギである俺に嫌がらせをするメイガスメンバーのなまえ、と言った所なんだろうか。
「紙…?」
一緒に渡された紙切れに呪文が書いてある。唱えればいいのか?唱えてみればたちまちカレールーがチョコに…ってなんてわかりにくい事を…!
「はは、食べてやるか…」
一口含めば周りと同じ香りなのに何だか特別な味がした。
―――
ウルガルド魔法騎士学園でそんな変な魔法を教えてるのかは謎です
12.02.19
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