◎ヨイヤミ
「ヨ、ヨイ?」
「なあに?」
「コレあげる…!」
そう言ったなまえから手渡されたのはチョコレート。まあ今日はバレンタインだもんね。
「なまえ、ありがとね」
「べっ、別にヨイの為に作ったとか違うから!」
「うん、でも俺は嬉しいから」
「ああもう!何でアンタってそう調子狂うの!?」
甘い香りの漂う箱を抱きしめればなまえがとっても愛しくなってきちゃって。やっぱり素直になまえが好きだ。そんな恥ずかしい事考えちゃって。
「ねぇなまえ」
「何よ?返品とか、受け付けてないわよ」
「ううん、違うよ。なまえに来年も作って欲しいなって思っただけ」
「わ、わかったわよっ、作ってやろうじゃないええやってやるわ!」
◎クジュラ
「ク、クジュラ?」
「何だ?」
「ア、アンタ甘いものとか…大丈夫?」
なまえの行動に首を傾げたかったがとにかく答えないとコイツは煩い。
「別に平気だが。一体どうした」
「今日って、チョコあげる日なんでしょっ!この私がアンタにあげるの!」
「そうか」
俗に言うバレンタインだと気付いた俺は微笑を浮かべなまえからチョコを受け取った。なまえの笑顔は今までにない笑顔だった。
「…可愛いところもあるんだな」
「か、かわ…!あ、あああアンタね!と、とりあえず受け取っときなさいよっ!」
「ああそうする」
十倍返しよ!とかなまえが騒いでいたがきっと照れ隠しだろう。食べてやるとするか。
―――
ふたりとも大人ね
12.02.08
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